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阪南中央病院労働組合の要求/見解/主張



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2010年 新年アピール
鳩山政権の医療政策の後退を許さず、医療労働者・患者の要求を掲げて闘おう!
阪南中央病院労働組合執行委員会
 これでは「医療崩壊」は止められない!2010年4月診療報酬「小幅増額改定」に抗議し、さらなる医療予算の大幅増額を求める

 2010年4月に行われる診療報酬の改定は、診療報酬全体で0.19%(本体1.55%)の引き上げが決められました。診療報酬は、小泉構造改革による社会保障費削減の柱として4回続けてマイナス改定(合計7・68%のカット)が行われてきました。その結果、「医療崩壊」の危機をもたらしました。医療機関経営は深刻な打撃をこうむり、倒産・閉院が激増し、医師・看護師をはじめ、人員不足の中で激務をこなしている実態となりました。救急医療、地域医療の崩壊、医療従事者の厳しい労働環境を改善するためには、診療報酬をはじめ医療予算の抜本的拡大が急務のはずであり、民主党や連立与党は、公的医療費の抜本的な拡大を公約していたはずです。しかしながら、今春の診療報酬改定は、財務省や「事業仕分け」から公然とマイナス改定路線が出され、なんとか増額にはなったものの、あまりに小幅な増額改定には、大きな落胆、失望と怒りを覚えざるをえません。これでは「医療崩壊」は止められません。私たち医療労働者は、さらなる医療予算の拡大を強く要求し、とりわけ「皆保険」維持のための患者さんの自己負担・保険料負担の軽減、医師・看護師はじめ医療従事者の増員と労働条件の改善のために闘いましょう!
 続いて、鳩山政権の医療政策の転換・後退に警鐘を鳴らし、「医療崩壊」打開のための課題を述べたいと思います。

鳩山政権の医療政策の転換と後退が始まっている

 鳩山政権の医療社会保障政策とりわけ医療分野における転換・後退が始まっています。総選挙前と政権出発にあたって、民主党マニフェストや「医療政策の考え方」および連立政権樹立に当たっての連立与党の3党合意において、大別して次の2つの柱が掲げられていました。
@「社会保障費2200億円削減計画の撤廃」や「医療費のOECD並みの確保」といった医療費抑制路線から拡大路線への転換。
A「後期高齢者医療制度」「障害者自立支援法」の廃止、生活保護母子加算の復活、介護制度の改善など、小泉「構造改革」によって進められた患者・利用者負担増大策の撤廃。
 これらは民主党が「構造改革」の矛盾の顕在化に直面して自らのネオリベラリズム的体質を封印し、「生活第一」を前面に押し出した結果であり、民主党自体から出てきたものというよりは、労働者人民の不満や要求、そして運動が、民主党と連立与党に押し付け、掲げさせたものです。
 しかし政権発足後4カ月にして、「コンクリートから人へ」の掛け声とは裏腹に、「後期高齢者医療制度」の廃止先送り、財務省や「事業仕分け」での「診療報酬見直し」=マイナス改定要求に顕著に現れたように、医療分野での急速な後退が誰の目にも明らかになってきました。「政権交代」の成果が早くも覆される危険が顕在化しはじめているのです。

民主党の後退 その1−「事業仕分け」に現れた医療費抑制継続・新たな患者負担増の危険性

 診療報酬は、小泉政権以降の社会保障費年2200億円削減の柱として4回続けてマイナス改定(合計7・68%のカット)が行われました。この結果、医療機関経営は深刻な打撃をこうむり、倒産・閉院が激増、医療提供側からの「医療崩壊」の最大の要因となりました。したがって与党が掲げた医療費拡大路線の公約どおりなら、来年度改定される診療報酬における増額改定は、既定路線のはずでした。
 ところが、まずは厚生労働省の来年度予算概算要求の段階で、金額が明記できない「事項要求」に格下げされました。そして行政刷新会議の事業仕分け(第二WG)にかけられ、「診療報酬の見直し」の判定が下されたのです。増額どころではない、「開業医と勤務医の平準化」「収入が高い診療科の見直し」といった配分の見直しに押し込まれてしまいました。これに加え、新たな患者負担増の議論までされました。現在、療養病床の入院患者から全額自費徴収している食費・居住費(いわゆるホテルコスト)を、若者や一般病床にまで拡大するよう検討すべきというのです。
 この事業仕分けは、小泉時代に始められた「構造改革」の手法であり、今回も財務省が主導し、小泉・竹中時代に規制緩和、「構造改革」を進めた人脈が多くを占めていました。財務省は、仕分け人に周到に根回しし、自分たちが準備したペーパーを土台に議論を進めました。診療報酬の議論では「厚生労働省の説明時間は5分だが、財務省はその倍」、審議した16人の仕分け人のメンバーに医療関係者はゼロ。主に外資系証券会社エコノミストや税理士法人役員らが、財務省のペーパーに基づき、「診療報酬は値付けの失敗」などと、「医療崩壊」の実態そっちのけの乱暴な議論を繰り広げました。こうして診療報酬問題は、労働者人民が民主党に押し付けた医療社会保障拡大路線に対する、財務省とネオリベラリストの巻き返しの格好の餌食とされてしまったのです。

財務省・ネオリベラリズムの巻き返しに警鐘を鳴らさなければならない

 財務省は、この仕分けの後の11月19日に「医療予算について」という文書を公表しました。これを見ると、仕分けの結論は財務省のシナリオどおりだったことが分かります。使用されているデータは、仕分けの場で出されたものと同様のものと言われており、その内容も、診療報酬は全体の底上げではなく、「配分の見直し」「薬価の引き下げ」で対応することが明記されています。「医療費が増大すれば保険料負担増、患者負担増という形でただちに国民負担増につながる」と記し、国の負担増の問題に目をつぶって、人民負担増に問題をすり替え、財政支出拡大の方向性を遮断しようとやっきです。
 長妻厚労相はじめ厚生労働省サイドは、財務省サイドに押し込まれて、「上昇幅を抑え、配分見直しで対応」、「あまり増額しすぎると患者負担が増える」と増額改定の要求を後退させていきました。その結果が、今回の小幅増額となってしまいました。
 事業仕分けを契機とした財務省・ネオリベラリズムの巻き返しによる医療・社会保障のさらなる抑制の危機に、警鐘を鳴らさないわけにはいきません。

民主党の後退 その2−「後期高齢者医療制度」廃止の先送り

 もう一つ、鳩山政権の医療政策の後退を象徴的に示すのが、「後期高齢者医療制度」廃止の先送りです。野党時代に廃止法案を出して参議院で可決していることもあり、自公政権からの決別として真っ先に手をつけるものを思われましたが、臨時国会が始まるやいなや先送りに転換。「実はすぐ廃止できるものと思っていたが」(鳩山首相)、「データをみると廃止に2年かかることがわかった。2年かかるのなら前の制度も素晴らしい制度とは言えないので、4年以内に新しい制度にそのまま移行させていく」(長妻厚労相)。「高齢者医療制度改革会議」を発足させ、「2011年春の関連法案成立、13年4月からの新制度施行」を既定路線にしてしまおうとしています。
 しかし民主党の言う「新制度」への移行は、「被用者保険と国保の一元化」を想定しているのでしょうが、この構想自体各々ばらばらな保険料負担の平準化や事業主の保険料負担の扱いなど難題山積です。4年後に制度ができ上がる保障はありません。「廃止」と「新制度移行」の抱き合わせはあまりに無責任です。
 「後期高齢者医療制度」は、2年ごとに保険料が上がる仕組みであり、来年4月からは厚労省自身の発表でも約13%上昇する見込みです(大阪府では、平均1人年7万6833円から9万2439円となり20・3%増)。保険料が支払えない人からの保険証取り上げの問題もあります。制度が続けば続くほど、高齢者への負担増大、医療からの排除が進みます。まず廃止が先決です。

医療現場からの切実な課題と要求を掲げて闘おう

 鳩山政権の医療政策の動揺、後退の始まりは、世論と運動がなければ、自分たちで掲げた公約でさえ、平気で反故にしてしまいかねない、この政権の危うさを示しています。民主党と連立与党の公約裏切りを許さない世論を盛り上げることが急務です。
 さらに「医療崩壊」の危機的状況を打開するために、医療労働者、患者の立場からの切実な要求を掲げて闘うことが求められています。

1)医療労働者の立場からは、第一に看護師の大幅増員と労働条件の抜本改善です。「民主党・医療政策の考え方」は、一言で言えば“公的病院の勤務医偏重”。看護師は医師の負担軽減の受け皿扱いの位置づけでしかありません。もちろん勤務医の増員・労働条件改善は大事ですが、これに劣らず看護師の不足と条件悪化の悪循環も「医療崩壊」をもたらす主要な要因となっています。看護労働者が先頭に立って闘い、看護師の計画的な増員や、夜勤制限を始め労働条件の改善を、具体的に政治課題として取り上げさせなければなりません。

2)患者の立場からは、自己負担・保険料負担の大幅引下げが緊急の課題です。「民主党・医療政策の考え方」は、「皆保険の維持」を掲げていますが、「皆保険」空洞化の実態とりわけ、国保の崩壊状況の打開にはきわめて不十分な対策しか示していません。例えば、患者負担軽減についても、ほぼ現状維持の枠を出ていません。「医療費を先進国並みに」というなら、国庫負担を拡大し、窓口負担も「先進国並みに」ゼロを目指して患者負担を軽減することや、診療報酬引き上げに際しても患者自己負担が増えないようにしなければなりません。また、保険料についても被保険者負担の軽減を図ること、そして保険料が払えない人の保険証の取り上げをやめ、無保険者をなくすこと、これらが「皆保険を維持」するために不可欠な政策です。

3)医療費拡大を目指すにあたり財源問題は避けて通れません。公約どおり「医療費をOECD平均に確保」するには年間4〜6兆円、OECDの中の「先進国」並みにするには11兆円が必要といわれています。これだけの財源をどこから安定的に確保するのかが問われます。この点気になるのは、民主党マニフェストには、無駄の削減や「埋蔵金の活用」は出てきますが、所得税の最高税率の引き上げや大企業への増税などの税制の抜本改革は出てこないことです。それどころか最近では、環境税やたばこ税増税など、新たな大衆増税の早期実施が急浮上しています。結局、大衆増税=人民負担へ進もうとしているのではないでしょうか。
 大衆増税という別の形での新たな人民負担増への世論誘導を批判し、政官財の癒着による無駄や「埋蔵金」の徹底した洗い出しはもちろんのこと、軍事予算や原子力予算の大幅削減、税制の抜本的改革による巨大資本、大資産家からの課税強化など、大衆増税に頼らない財源確保と医療予算の抜本的拡大をより強く要求していかなければなりません。

 2010年を医療費抑制から医療予算拡大へ、そして「医療崩壊」からの転換の一年にしていきましょう。
(2010.1.12.)

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