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私たちの訴えと取組み

7月16日水俣病裁判で勝訴判決
国の認定基準を否定、熊本県に原告の水俣病認定を命じる
国・熊本県は控訴せずに判決に従え!

 翌日の新聞各紙に、「国の認定基準を否定」と1面に記事が出た関西訴訟勝訴患者の認定義務付け訴訟。
 2004年のチッソ水俣病関西訴訟の最高裁判決で被害を認められながら、その後、行政からは水俣病と認定されなかった大阪府豊中市の女性Fさん(84)が、熊本県知事の認定申請棄却処分の取り消しと認定義務付けなどを求めた訴訟の判決が16日午後1時10分から大阪地裁でありました。組合からも傍聴に参加、弁護団4名、村田三郎医師、そして水俣から駆けつけた水俣病被害者互助会会長の佐藤英樹さん、事務局長の谷洋一さんなど、支援者とともにこの判決を聞きました。
 裁判長は、最初何を言っているのかよく分かりませんでしたが、「水俣病認定申請を棄却する旨の処分を取り消す」「水俣病である旨の認定をせよ」と聞こえてきて、勝訴判決であることが分かり、傍聴席からは、確認するかのように「勝った」「よし」という声が広がりました。

「52年判断条件」は「医学的正当性」なし

法廷では、主文のみの陳述で終りましたが、判決文によると、複数症状の組み合わせがないと水俣病と認めない現行の認定基準(いわゆる「52年判断条件」)について「症状の組み合わせがない限り水俣病と認められないとする被告の主張には、医学的正当性を裏付ける的確な証拠が存在しない」と否定、原告女性は手足の感覚障害のみの症状だが、組み合わせを満たさない場合でも水俣病と認める余地ありとし、女性を水俣病に認定するよう命じるもので、原告側の全面勝訴といってもいいものです。判決後の記者会見では、村田医師は、「52年判断条件の不確かさを明確に指摘した判決であり、国に大幅な救済制度の転換の必要を迫るもので、意義深い判決。原告女性の悔しさを裁判所が受け止めてくれた」とコメントされていました。

「52年判断条件」は廃止し、「救済策」を一から見直すべき

この判決は、@水俣病の認定範囲を狭め「患者絞込み」のためのものとして批判され続けてきたにもかかわらず、国が変えようとしてこなかった「52年判断条件」を明確に否定するもの、A原告を水俣病と認定するよう行政に命じる初めてのもの(今回の義務付け訴訟は2005年施行の改正行政事件訴訟法で導入された)、そして何よりB今年5月から開始された「水俣病特措法」によって、あくまで患者認定せずに一時金(210万円)で決着を図る「救済策」を問いただすもの、という意義をもっています。
 高齢のため、認定されないならば、せめて一時金だけでもと、「救済策」に応じた被害者団体も多くあります。しかし、今回の判決は、国の誤った認定制度のあり方を根本から問い直した判決であり、国・熊本県は真摯に受け止め、控訴を行なわず判決に従うべきです。そして「52年判断条件」を撤回し、これを前提にした「水俣病特措法」に基づく「救済」のあり方を根本的に見直すべきです。原告側は控訴期限の30日まで国、熊本県に判決受け入れの要請行動を行ないます。私たちも、環境省、熊本県に対し、控訴をやめ、判決に従うよう、声を上げていきましょう。

判決後、司法記者クラブで弁護団、村田三郎医師、佐藤英樹さんが記者会見

組合ニュース5142号(2010年7月20日)より

(2010年7月20日)

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