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私たちの訴えと取組み

水俣病と関わって50年
〜水俣病が現代に問いかけるもの
2011年6月9日原田正純さん講演会

 6月9日、半世紀にわたって水俣病と向き合い続けてきた医師・原田正純さんの講演会が行われました(主催・教育研修委員会、後援・組合、人権推進委員会)。職員90名が参加しました。
 原田先生は、水俣病の発見とご自身が水俣へ行って関わり始めた当時(1961年)の様子から話を始め、胎児性水俣病の立証、関西訴訟の意義、新水俣病救済法の問題点など、水俣病と関わった50年の歩みを語ってくださり、「現場から学ぶこと」の意義を強調されました。また、カナダやブラジルの水銀汚染、三井三池炭鉱の爆発事故、カネミ油症事件、ベトナム枯葉剤被害など、これまで関わってきた問題を紹介されました。「公害が起きたおきたから差別が起こったわけでなく、公害は差別のあるところにしわ寄せされる」と、公害と差別の関係が、各地の公害に共通することを強調されました。
 熊本大学を退官後、熊本学園大学に招かれて、農民から学ぶことをモットーにした田中正造の「谷中学」をヒントに、「水俣学」の講座をはじめ、現場から学ぶ、当事者が参加する、という姿勢を貫かれています。その姿勢の一貫性に強い感銘を受けました。
 原田先生の50年間は、ご自身が著書で書かれているように「治らない患者を前にした時こそ、医師にはすることが山ほどある」という言葉そのものだったと講演を聴いて強く思いました。
 水俣病や、世界各地の公害に、一貫して患者・被害者の側に立って取り組まれた先生のお話から、参加者は、医療者として患者さんへ向き合うことの大切さや、一人の人間としてあるべき姿勢を学んだことと思います。
 この機会に、講演に参加できなかった方にも、ぜひ内容を知っていただきたいと思います。原田正純先生の講演のDVD、近著「宝子たち」、NHKの特集番組「水俣病≠ニ生きる〜医師・原田正純の50年〜」を貸し出していますので、組合事務所まで問い合わせください。

[参加者の感想(一部)紹介]
○23年ぶりに懐かしいお顔とお声を拝見・拝聴し、感無量です。「現場に学ぶ」ことの重要性を改めて認識しました。
○水俣病、あまりにも知らなさすぎた。50年関わって来られた先生に「お疲れ様です」と心より思います。
○とても大変な経験をお話してくださり、ありがとうございます。当院の当時の先生方が原田先生と果たしてきた事を職員として誇りに思います。
○「治らない病気を前にしたとき、やるべきことは山ほどある」熊本の原田先生と阪南のベテラン先生の生き様そのものと思いました。こんな時代だからこそ、若い先生に継承してほしい。
○本当の医療者を見た気がします。自分が患者さん各々に何をしてあげれるか考えていくことは一生やめてはだめだなと思いました。
○「現場に行ったらわかった」という点がとても共感できました。
○公害の歴史、それを学び今特に活かしていく難しさを感じました。真摯に患者と向き合っていく大切さがわかりました。
○とても感動しました。本当に患者さんの立場に立って医療をされてこられた生き方に感動です。
○とても心に響くご講演でした。阪南中央病院も、更池学or松原学or阪南学を誇りを持って打ち立てたいものです。
○胎児性水俣病では、母親の訴えをきちんと受け止め、「ありえない」という専門家の考え方を反省し、患者の立場に寄り添った姿勢をすばらしいと思った。
○「現場から学ぶ」「患者さんが専門家である」「環境が汚れれば子宮が汚れる」ー自分のレベルで理解できる言葉を思い出して、理解を少しでも深めたい。

(組合ニュース5162号 6月20日より)

(2012年1月16日)

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