3月26日、『看護崩壊〜病院から看護師が消えていく』『ルポ職場流産』などの著者、小林美希さん(労働経済ジャーナリスト)の講演会「『看護崩壊』の実態と課題」を開催しました。
看護師の過酷な夜勤、「職場流産」の実態

小林さんは、理想の看護どころではない職場の現実、夜勤の負担や二交代長時間労働の過酷な状況を、実例とデータで紹介してくれました。そして、看護師の過酷な実態の最も悲惨な現われとして「職場流産」の実例や、一般労働者と比べて看護職の「職場流産」の割合が高いことを紹介、他人のいのちを救うために、自らが宿した尊いいのちが失われる矛盾は、決してあってはならない、いのちを預かる現場から「子どもが出来ることを喜び合える社会」を、と訴えていくべきと語られました。
「看護師は冬の厳しい寒さの中で咲く椿」
小林さんは最後に、「看護師を花にたとえると冬に咲く椿。厳しい寒い中で生き、きれいに咲く椿が看護師に一番ピッタリとする。ただきれいな椿もあまりにも環境が寒くなりすぎると咲くことはできない、だから今これからは環境をよくして、温かいものにしていって、いろいろな個性の花が咲ける、患者にとっての癒しになれる看護師をどれだけ増やせるか、ということを現場の声とともに訴えていきたい」と講演を締めくくられました。
全国各地の看護師の取材を踏まえ、看護師の労働条件の改善を訴える小林さんの話はとても説得力があり、共感をもって聴けました。
いのちを預かる現場から「子どもが出来ることを喜び合える社会」を〜小林さんの訴えを受け止めて、看護師、妊娠中・子育て中の女性に優しい医療職場づくりにこれからも取組んでいきたいと思います。
参加者の感想(アンケートより一部抜粋)
○医療職場でない小林さんが、本当に問題点を客観的にピックアップされていると思います。ありがとうございました。
○看護師の厳しい就労環境を伝えてくださる方がいるのだ…と思うと感動しました。例に挙げられた病院よりまだまし…とも思いますが、一人退職したり病欠が出ると、そのやりくりに苦労するので、毎年生まれる新看護師がいるのに、看護師が不足していることの現実を思うと、働きやすい職場を目指さなければならないと思います。
○各病院の具体的な現状がよくわかりました。やはり現場から声を上げていくことの大切さを痛感しました。
○小林さんは自ら就職氷河期を実体験された一人として、若者の悲惨な労働実態について、リアリティ満載で世に発信される反骨のジャーナリストだと感じました。
○多くの医療現場を回られての実情紹介があり、悪い事例、いい事例いずれも大変参考になりました。「生きるための労働という『生』、働きながら次世代を産み育てる『生』を守る」「交代制」でなく「交替制」、「子どもができることを喜び合える社会」、とても心に残りました。
○「特定看護師」制度の問題点を初めて知りました。
(組合ニュース5205号 2013年4月2日 より)
|