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人権研修の記録           

2月26日、生田武志さんの人権講演会に70名参加
  釜ケ崎の現実を通して、
  不安定就労者の人権を考える

 2月26日、講師に生田武志さん(野宿者ネットワーク代表)をお招きし、人権講演会「不安定就労と人権〜釜ヶ崎の現実」(人権推進委員会主催)を開催しました。この企画は組合も共催し、「反貧困」の取り組みの一環として、多くの組合員に参加を呼びかけ、主催者予想を超える70名の参加を得ました。
 講演ではまず、生田さんの20年以上のかかわりの中で野宿者は増える一方で今では全国で野宿者は3万人に達したこと、野宿になる原因は失業であること、そして失業―貧困―野宿のこのパターンが、1995年以降の雇用の非正規化や消費税増税などの政策によって拍車をかけられてきた経過を説明されました。とりわけ1998年(消費税が3%から5%に上がり、自殺者が年3万人を突破した年!)に全国各地に激増し、釜ケ崎の状況が一般化していったこと、2000年代に入ると女性の野宿者や野宿者の若年化が進んできたことが説明されました。
 この後、釜ケ崎に行ったことのない人にもわかりやすいように、釜ケ崎の状況を特集した3年前のニュースのビデオ(約12分)を上映、今は状況がもっと悪くなっているとコメント。
 生々しい話で参加者の印象に強く残ったのは、ホームレスになると直面する問題としての野宿者襲撃(襲撃者の95%が10代!)や、健康問題と病院の「貧困ビジネス」の実態でした。生田さんが支援で関わった襲撃事件の被害者の様子や、「行路病院」たらいまわしや薬漬け検査づけの実態、医療過誤の裁判などの具体例が語られました。
 最後に「自業自得論」「自己責任論」について反論し、「いす取りゲーム」の例を出して、いす(仕事)は減り、プレーヤー(失業者)が増える一方では、いくらいすを取ろうと精一杯周りを走っても、取れない可能性は高くなる。問題は「個人の努力」でなく「構造的な問題」であると語られました。また「カフカの階段」の図を使って、野宿になるときは、「労働」「家族」「住居」「金銭」それぞれからの排除が段々に進み転落していくが、もどるときには段々でなく険しく高い一段になっている、と再チャレンジを阻む日本社会の福祉制度や就労支援などの社会保障制度の不備・脆弱さをわかりやすく説明されました。そして、この険しい一段を、段々にして、野宿生活から元の生活への復帰を支援していくことが自分たちの支援活動だ、と述べられました。
 「釜ケ崎」の野宿者の困難な状況を通じて、これから大量失業で同じ境遇に陥る人が増えることに思いを向け、今何が必要なのかを考えさせられる講演会となりました。
(組合ニュース第5103号(2009年3月4日発行)より)
(2009年3月5日)

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