NPO法人化の意味
理事・事務局長 根岸愛子

 CMCCでは特定非営利活動法人の申請をしていましたが、いよいよ認証され法人として新しく出発することになりました。

 NPOとは、Non Profit Organizationの略です。1998年12月に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行され、この法律に基づく法人が特定非営利活動法人(NPO法人)です。日本語の名称は長たらしくて、わかり難いので、公にもマスコミなどにもNPO法とかNPO法人とか呼ばれてきました。ここでもNPOと略称を使わせていた だきます。

 私たちCMCCは今まで任意団体として活動を続けてきて10年たちました。「心病む方々とともに生きる」という志を以て、自ら学び、問い直しつつ歩んできました。多くの方々の協力により、理事会や運営委員会等組織の運営も整え、パソコンを導入して事務の効率化を進めるなど本来の事業が円滑に行われるよう努力しています。法人になる必要はないのではないかとの声も聞かれます。ではなぜNPO法人になろうと考えたのでしょうか? 一つには以上に述べたような組織としてきちんとしていることは法人としても十分に通用するということです。もし、NPO法人になってプラスになることがあれば、あと一歩での努力で達成できるので法人の申請をしたらどうだろうと理事会では考えました。

 法人化のために必要な定款づくりのための研究会が去年の3月にあったので、参加して勉強をしました。20くらいの団体が参加していました。街の、高齢者の介護や障害者の援助をしている小さな団体から来ている若い人たちも多くいました。これらの人たちの熱意に教えられることがたくさんありました。

 既成の社会福祉法人や学校法人などの公益法人になるためには、施設・財産など大変厳しい条件があります。それらの条件を満たすことができないと法人になることができません。NPO法は社会福祉法人などになれない多くの活動団体が法人格を与えられることによって社会的信用を得、活動しやすくするために生まれたものです。なにがNPO法人になるとメリットなのか、勿論デメリットもあります。その具体的なことに関しては、後で梅澤やよひ氏が書いて下さることになっていますのでここでは述べません。

 NPO法を見ますと、特定非営利活動の種類が12種類あがっています。その一番目にあるのが「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」です。CMCCの活動もここに入ります。上述の小さな団体もここに入ります。実際この項目の活動が一番多く申請されているようです。そのほか、芸能・スポーツ・国際交流など広範囲な活動が含まれているのでこれらを一括して扱うことは問題があると思います。

 法人申請の際に一番苦労したのが定款です。定款はその団体の大枠を公に認めてもらうためのもので、それに反しない限り細かいことはそれぞれの団体で決めてよいのです。定款は法律で定められた退屈な条文 が並んでいて長たらしく、分かり難いものですが、CMCCとして大切な3つの事項について書いておきます。

1.名称について
 特定非営利活動法人
 キリスト教メンタル・ケア・センター
 略称はシー・エム・シー・シー(英文ではCMCC)となります。

2.目的
 本法人は、キリスト教の精神に基づく民間のボランティア団体であり、心病む人々(精神障害者)及びその家族を援助すべく、医療、臨床心理、教育、社会福祉等の知識と技術を学びつつ、電話相談、面談その他 の方法により、不特定多数の人々を対象とするメンタルケアのボランティア活動を行い、もって社会全体の利益の増進に寄与することを目的とする。

3.特定非営利活動に関わる事業
(1)心病む人々及びその家族に対する援助と相談事業
(2)本法人の目的に賛同する聖職者、精神科医、弁護士、臨床心理士、カウンセラー、ソーシャルワーカーなどのネットワーク作りに関する事業
(3)国内外における目的、趣旨を同じくする諸団体との交流事業
(4)学際的研究及び機関誌の発行に関する事業
(5)相談員の養成に関する事業
(6)音楽会、映画会等チャリティーイベントによる普及啓発事業

 以上のCMCCとして大切な内容は従来の任意団体の規則と本質的に変わっていません。1999年総会において承認されたように、NPO法人が発足したので、任意団体としてのCMCCは自動的に解散となります。

 CMCCの理念については、たびたび本会報でも論じられてきましたし、前号では熊澤喜久子氏が分かり易くまとめて下さいました。CMCCの理念に沿った相談のあり方は、相談員(CMF)が相談相手に指示したり、結論を押しつけたりするのではなく、同じ平面の上で共にあることによって援助をして行くことであり、また個人ではなく、グループとして関わって行くことです。このような相談をして行くためには、CMFはキリスト教の信仰を土台とし、自己を解放して自分と仲間の成長を願う者でありたいと思います。

 癒す(cure)でなく、配慮(care)をという方針は相談事業として独特のもので、これからは注目されるでしょう。精神科医やカウンセラーの中にも、評価して協力して下さる方がふえてきました。NPO法人になった今、より広い視野に立ち、一層多くのユーザーに仕えることが期待されています。NPO法人としては宗教活動を主たる活動とすることは禁じられていますが、CMCCではユーザーに対して、こちらから聖書の話や教会の紹介はしないことになっていますので、従来のやり方と変わりません。皆で協力して社会からも認められるCMCCを創り出したいものです。