第二十六回坂東吟行 第三十二番札所 音羽山清水寺

 
 西国十六番札所の京都清水寺、第二十五番の兵庫御嶽山清水寺とともに日本三清水として知られ、それは太平洋に注ぐ夷隅川河口周辺の岬町の山間にあって地形が似ていることや、夏でも涸れることのない霊水「千尋の池」があることに由来しているといわれる。
 延暦年間(782〜806)、伝教大師が道に迷ったとき熊野権現に一夜を与えられ、その地に庵を結んだ。勅命で比叡山に帰った後、慈覚大師が、師の志を継ぎ、千手観音像を刻み、さらに坂上田村麻呂が、堂宇を建立した(807)。境内に続く「清水観音の森」は郷土環境保全地域に指定され。東側の谷あいは「音羽の森公園」となっている。
◎開催日 平成十八年十一月十九日(日)
◎日 程
十時 
十三時三十分
十六時三十分
清水寺集合
出句締切 三句出句 三句選
句会終了
◎句会場 清水寺

主宰ご出句
 

祷りけりはせを忌の燭ふやしては

亡きひとのこゑと祷りぬ初しぐれ

着ぶくれてこの世に祷ることひとつ



 
 
 

秀句
 

しぐるるや海岸道路九十九里

海近ししぐるる畑に火の立てり

波乗りの九十九里浜しぐれけり

一日の旅音羽山紅葉冷

山門の桜の裸木雨に濡れ

納経所出でてゆたかに冬の雨

柚子一袋二百円観世音

時雨るるや金の燭台百観音

くらがりに落葉明りや百観音

雨音の十一月の火をともす

二人して二度シャッターを切る師走

びんづるさまの頭を撫でて木葉髪

かがやける時雨のしづく観世音

冬の雨杉百幹の音もなし

杉亭亭仏道また時雨道

傘に聴く外房十一月の雨

雨音に包まれてゐて冬ざるる

しぐるるや霊樹の洞に動く物

裏山の濡れてあかるきからすうり

はせを句碑より五六歩焚火跡

ぐんぐんと雨すひこみぬ焚火跡

しぐるるや上総の寺の大茶釜

大屋根の下に着がふる冬遍路

冬浅き千尋の池に面影を

石蕗の花池を動かぬ男傘 

人かたまる金魚かたまる時雨かな  

山寺の金魚のほかは時雨けり

靴の先しめつてゐたる花八手

ひとに会ふひとに別るる冬の草

みだれ打つ雨音はげし石蕗の花

しぐるや身をはなれゆく鐘の音

鐘撞きにけり全山の冬紅葉

鐘の音十一月の雨の音

房総に足らぬものなし冬ぬくし

松かさを踏む冬濤のきこえきし

手袋を外す外房の砂踏みて

一茶忌のこの雨を聴き波を聴き

九十九里波のくづるる空のしぐるる

太平洋に真向ひて人並ぶ冬

黙す人ふえてゆくなり冬の浪

たれこめて波の牙剥く神の留守

冬の濤寒色冬の草暖色

くだけては奔馬となりし冬怒濤

流木の根をつきたてて冬の濤

竜の玉流木の旅ここに果つ

枯れいそぐものの果てなる太平洋

寺沢 慶信

盛田 道子

鎌田 明子

深津 健司

菅沼喜久子

渡邉 公世

原田 桂子

徳島 妙子

はたちよしこ

今野志津子

小久保 寛

丹後喜美子

岩谷美津子

加藤多美子

水野 浩子

江上 洋子

入沢まき子

佐藤 古城

牛山美代子

軽部 梢

広川 一美

岩崎 芳子

小木曽仁子

小野 伸子

中田千惠子

田浦伊久子

岡崎 華与

有住 洋子

桑田津海坊

安居須美子

山口 恭徳

大貫 瑞子

鳥井 月清

田中 修明

二宮 操一

鎌田 ゑり

深津 瑩子

後藤 洋

尾崎じゅん木

田中 啓介

永井 道子

小松勢津子

武井 伸子

小池 啓子

植村やよひ

門奈 明子






 
 

記録:後藤洋




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