第二十二回坂東吟行 第三十番札所  平野山高蔵寺(高倉観音)

 
 高蔵寺の開創は用明天皇の御代、六世紀までさかのぼる。徳義上人がこの地で修行中、ある日雷鳴がしきりに起こり、里人たちは世の変化の現れと恐れていた。上人はこれを妙縁として、一人山中に籠られた。そこへ老翁が現れ、「衆生済度のために飛来した観音をここに安置した」と古木を指し、姿を消した。上人がその梢をみるとそこに四寸(約十二センチ)ほどのお身丈の観音像が安座していたという。徳義上人は里人とともに堂宇を建立、この観音像を安置したことに始まる。
◎開催日 平成十七年十二月十一日(日)
◎日 程
九時三十分
十時
十一時三十分
十三時三十分
JR木更津駅集合 貸切バス
高蔵寺到着
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出句締切 三句出句 三句選
◎句会場  かずさアカデミアホール202B会議室

主宰ご出句
 


山姥われお杖たまはる枯上総

なかんずく岩井婦人の冬帽子

ふくろふが待つよご本堂床下

 
 

特選句
  短日の男しづかに着きにけり 
 鈴木 仁




  青邨忌近づく身辺整理かな    岩井 久美恵
  冬の鵙構へずにまた力まずに
深津 健司
  高床のくらがり灯る寒さかな
二宮 操一
  冬の雲お厨子のひかり拝しけり 
植村 やよひ
  翔び来ては枯木に止まらずにゆけり 
後藤 洋
  あしたより真昼の寒き札所寺  
水巻 令子
  真木柱八十八柱冬ざるる 
深津 健司
  冬の日や搗かれて鳴りし鐘ひとつ  
安達 潔
  一点となるためにゆき枯野人  
今野 志津子
  梟の不苦労と書く焚火かな
永井 道子
  瞑りて聴くこの山の枯るる音  
大貫 瑞子
  語りかけ語りかけられ冬深む  
水巻 令子
  高床の柱に裂け目冬木の芽   永井 道子

 

記録・写真:後藤洋




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