第十八回坂東吟行 第十九番札所 天開山大谷寺(大谷観音)

 

平成16年11月28日
句会場:和風レストラン磐石荘(栃木県宇都宮市大谷町)

 大谷寺は弘仁元年(810年)弘法大師の開基と伝えられています。
古代人の横穴住居跡に建てられた本堂は、風化した石との不思議な調和が魅力で、大師が洞穴に刻んだという本尊の千手観音は日本最古の磨崖仏として、他の堂内の石仏とともに国の特別史跡・重要文化財の指定を受けています。


主宰ご出句
 


柞炎え舞へ石切夫石負女

その声を聴く柞山観世音

照る翳る石山柞葛もみぢ

 
 

特選句
  坑内の舞台に佇てる三島の忌 岩井 久美恵



  石刻むその冬麗のここちかな 半田 真理
  綿虫や透視図法の石切場 寺澤 慶信
  磨崖仏に冬日の移る寂かかな 沖山 充弘
  日の差せば日に輝きぬ庭もみぢ 金堂 豊
  一枚の岩に祈りし小六月 井上 薫子
  冬ぬくし観音の裾ゆらぐかに 井坂 道子
  一枚の木の葉鳴り散る石仏 山口 恭徳
  お姿や千手の翼ひらく冬 渋谷 澪
  観音も冬日もぬくし大谷石 門奈 明子
  寂と燃ゆ冬の紅葉もたましひも 大貫 瑞子
  小春日の石垂直に水平に 後藤 洋
  観音の衣紋の白し冬ぬくし 大松澤 喜美子


記録・写真:後藤洋




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