第二十三回全国「藍生」のつどい・福島大会 二日目吟行句会

第23回全国大会藍生のつどい

  「奥の細道 福島大会」第二句会

                平成28年6月12日 於 H辰巳屋


主宰句


瞑れば梅雨の蜩遠郭公
涼しさのもぢずり石に渡部健
桃西瓜冷やしてありぬさくらんぼ

主宰特選句


暑き日や信夫もぢすり除染中       岩関のぶお

竹の皮翁の踏みし細道に         軽部 梢

なかほどで畳む日傘も芭蕉坂       曲子 治子

心身安楽また郭公の啼きはじむ      高浦 銘子

誰がこともいつか昔にほととぎす     高田 正子

千年を偲ぶ文知摺石涼し         中田千惠子

みちのくの梅雨に大きな笈負ふや     滝澤 昭子

桃熟るる頃に来たしやフクシマへ     盛田 道子

耳石の涼し薬師の堂涼し         岡崎 淑

この年のこの地フクシマ桜ん坊      小川 裕子

短夜や全国銘菓歓談す          木村 燿子

風を切り裂く炎帝の笑ひかな       益永 涼子

涼し忠信澤潟屋さんに決まつてらあ    大矢内生氣

炎天や福島に立つているだけ       半田 良浩

醫王寺のくわくこうくわくこうゆくりなく 北村 微笑

宿命の重さ軽さよ夏木立         勝俣 冬美

むなぐらに福島の夏もちかへる      山下 輝代

原点に戻る六月芭蕉坂          藤岡 値衣

文字摺の掃き清められ若葉光       河村 晶子

ほととぎす昔も今も忍ぶずり       秋山 英子

あゝ残念今年も西瓜食べそこね      小山 京子

青梅の昏きにふれて指濡るゝ       近藤 愛

夏つばめ信夫文知摺滑空す        木村 燿子

罌粟咲くや訪ふべき町に来てをりぬ    二階堂光江

産土のフクシマにゐて単足袋       益永 涼子

忠も孝も医王寺の白紫陽花        松本 利幸

風薫る見付けぬ花の無尽蔵        肥田野由美

福島のあしたキビタキ啼け永遠に     後藤 洋

パラソルを水にさしかけ底のぞく     秋山 洋一

万緑の中ふくしまは蘇生する       早川智恵子

竹皮を脱ぐ句を詠むは祷ること      藤田 翔青

涼しさを妻に分けたし旅帽子       角山 徳人

自惚れと焦りのなかをほととぎす     内山 森野

さくらんぼ光の雫分けあひぬ       林 美佐子

フクシマの桑の実甘し医王寺へ      和田 千明

をろがめば笈も太刀にも緑さす      北村 照子

炎天や福島を詠み尽くさむと       二階堂光江

除染済標識へ来て夏の蝶         菅原 有美

除染作業員募集さくらんぼ        盛田 道子

土に根を生やし文知摺石涼し       石田 六甲

緑陰やぶあつき背中の俳人と       植田 珠實

郭公やどこまでつゞく芭蕉坂       森光 梅子

夏つばめ歩道のうねり地震のあと     中山満佐美

閑古鳥何も刻まぬ石祀り         田中 啓介

初物の三度栗西瓜酔ひの句座       半田 良浩

万緑へ鐘ひとつ撞く生氣さん       井上 薫子

染筆の夜の涼しきその一間        深津 瑩子

ふくしまにつどひて語り月涼し      渡辺 行子

はるばると来しよ下闇細き道       久保 京子

医王寺のみどり一兵卒の墓        高橋冨久子

阿多多羅青し阿武隈川眩し        深津 健司

郭公啼くさあ今からだこれからだ     後藤 洋

しみじみと癒ゆしみじみと木下闇     藤田 翔青

竹落葉どつさり積もりしんとして     古橋 淑子

除染てふ木々皮むかれ夏迎ふ       杉崎 文子

己が眼を己がのぞきぬ桜桃忌       植田 珠實

竹皮を拾ひて寄せて芭蕉坂        大信田宏子

放棄田に隣接まぶしさくらんぼ      北村 微笑

文知摺石涼し何歩で廻れるか       松本 利幸

星涼し語らぬ人と語る人         臼井 富士

郭公よ還らぬ人を数へても        高田 正子

伽羅蕗を煮てそれからの旅支度      杉崎 文子





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