第十二回 全国「藍生」のつどい・静岡大会
第一句会
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6月11日(土)、青葉時雨の浜名湖畔・館山寺温泉の一際威容を誇る「遠鉄ホテルエンパイヤ」(富士の間)に、9時30分の受付開始より続々と全国各地の「藍生」の仲間が集まり始めた。前日から宿泊しオプション吟行コースに参加、浜名湖一周、二俣城、浜北森林公園等で句を温めてきた者も多い。推敲の為、前夜は同ホテルの折角の素晴らしい掛け流しの温泉にさえゆったりとは出来なかった者もあったかも知れない。120名余りが一同に会し定刻13時30分より3句出句3句選での句会が開始された。360句余りのそれぞれの力作揃いの中から僅か3句を厳選するという作業は、また選句者としての一人一人の難行苦行というものであろう。 |
主宰句 |
みずうみの北の暁闇ほととぎす |
青梅雨に入る龍潭寺方広寺 |
青梅雨の旅人として歳を経たり |
主宰特選句 |
東海道走り走りて走り梅雨 | 祖川 弘司 (高知県) |
青梅や遠ざかりゆく人と知り | 田中 櫻子 (京都府 |
梅雨空のむこう茫々たる未来 | 今野 志津子 (東京都) |
梅雨に入る五十三次宿場町 | 土居 喜之 (高知県) |
ふるさとのごとし午睡の湖を前 | 渡邊 三度栗 (高知県) |
鰻屋の蒸籠の吹く軒燕 | 永井 雪狼 (滋賀県) |
百姓か漁師か耳朶の日に焼けて | 山崎 巌 (新潟県) |
人の世のこころ澄みゆく夕螢 | 後藤 洋 (東京都) |
砂丘にていつも密かに蟻は死ぬ | 北村 ひかる (埼玉県) |
浜名湖の闇ふくらます走り梅雨 | 浜崎 浜子 (高知県) |
うれしきこと少なかり薔薇数へても | 田川 研一 (千葉県) |
梅雨に入る網をたたんでゆく蜘蛛よ | 鈴木 信幸 (東京都) |
黒南風の姫街道を吹き抜ける | 岩井 久美恵 (東京都) |
木雫にはね返りたる夏落葉 | 原田 桂子 (東京都) |
浜松や何はともあれ鰻喰ふ | 西沢 勝 (宮城県) |
夕まぐれひとつ実梅の落つる音 | 石川 秀治 (神奈川県) |
短夜の湖に待たれていたりけり | はたち よしこ (埼玉県) |
雨にぐ湖のほとりの枇杷をぐ | 森光 梅子 (長崎県) |
白靴の沈む海亀産卵地 | 水巻 令子 (千葉県) |
帯ぎゅっと締めて一歩を青梅雨に | 七波 真理 (静岡県) |
魚はねて浜名湖の今梅雨に入る | 松本 利幸 (山口県) |
1日目句会場、遠鉄ホテルエンパイア「富士の間」 |
主宰特選句には主宰染筆色紙が贈られた |
写真・記録・文:後藤洋 |
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