第九回 全国「藍生」のつどい・羽黒山大会
羽黒山深夜句会

日時:六月八日午後十一時〜翌九日午前二時三十分頃まで
会場:斎館(羽黒三山神社参籠所)      

今年も大会恒例の有志深夜句会が行われた。
参加者二十名が、ワイン、ビールを傾けながら 眠気と戦いながらの互選句会となったが、途中この深夜の山にかなり激しい雷雨が見舞った事は、この参加者だけが知っていた事かも知れない。
参加者全員の二句づつを記録。(例によって記録係りも大分酒がまわっていたので、誤記等はご勘弁を。)


参加者二句













 黒雲のぐんぐん来り太宰の忌
涼しさや太き腿にも乳房にも
田川 研一(千葉)
   
 黒髪も薄きも同期梅雨の句座
湯浴みして涼しき句座に侍るかな
さとう かしこ(神奈川)
   
 山寺の花らふそくや火の涼し
目は黒胡麻胡瓜で作る蛙かな
杉田 百合代(奈良)
   
 ゆふだちの来て斎館の黒き土間
山伏の禰宜の言葉の涼しかり
後藤 洋(東京)
   
 涼しとはかの山寺の蝉の声
月山に雪置き噴水たかだかと
篠田 くみ子(愛知)
   
 黒猫の影伸び縮み初伏かな
初恋の人に似し男星涼し
益永 涼子(福島)
   
 ハナウドの漆黒の闇はじきけり
雲海の夜の女神の統べる黒
佐治 よし子(山形)
   
 涼しさをもとめ息づく三の坂
仏法僧世法を説けり湯殿山
矢持 義峰(山形)
   
 涼しさや羽黒の雨のたくましき
ががんぼや百鬼夜行をみやりつつ
伊藤 弘高(秋田)
   
 ががんぼの足一本の涼しさよ
唐突に杉木立より走り梅雨
杉崎 文子(山形)
   
 峡涼し即身仏に親のある
夜立二度太陽黒点蠕動す
大矢内 生氣(東京)
   
 雷鳴の合祭殿を走りけり
黒星を涼しく喫す御山かな
田中 啓介(東京)
   
 老杉の洞にすだく音涼しかり
水無月や黒髪の解剖学の天使
橋本 薫(石川)
   
 先達のこゑの涼しき法の山
老鶯のこゑ密密と羽黒山
荒巻 信子(静岡)
   
 涼しくて涼しくて泣きました
ほたるぶくろなかにほたるいない
梅田 昌孝(愛知)
   
 黒々と昇龍降龍よだち来ぬ
水無月の涼しさ極む片思ひ
岡村 遊(静岡)
   
 夜雨にも打たれてしまへ五月闇
黒き舌切りおとしたい夏の夜
半田 真理(栃木)
   
 杉の木の沢山ありて涼しかり
老人とてふてふべつの緑蔭に

秋元 真理子(埼玉)

   
 涼しさを玉珠つなぎして迎えむか
黒檀の机のうへの大暑かな
たかぎち ようこ(大阪)
   
 河鹿鳴く乾ききったる岩々よ
大鐘の昏きに寄れば涼しけれ
丹野 麻衣子(東京)
   

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