aoilogo2023年2月藍生主宰句
奥会津より雪間草
黒田杏子


立春の大きな机朝日享く
春立てり大きな机栃の木の
句友きやうだい電話して寒明けにけり
立春と手書きの葉書投函す
寒明けにけり選評を書きあげて
立春大吉読書三昧老婆
立春の切手箪笥を点検し
堀柳女人形「踏み絵」嫋嫋と
  回想 南那須村 三句
スキップで麦踏みにゆく疎開の子
麦踏みの後手を組み疎開の子
夢の中でも麦踏んで疎開の子
  ある朝
奥会津より本郷へ雪間草
老女励ます一束の雪間草
  ご自宅の庭の蕗の薹を毎年届けて下さる方のありて 七句
朝一番の軽き荷は蕗の薹
青竹小籠蕗の薹十五粒
衣うすく揚げてまんまる蕗の薹
つぎつぎ揚がる蕗の薹冷酒で
母揚げてくれし摘みたて蕗の薹
父と母兄に供ふる蕗の薹
蕗の薹俳句修行の七十年


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