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黒田杏子
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立春の大きな机朝日享く 春立てり大きな机栃の木の 句友きやうだい電話して寒明けにけり 立春と手書きの葉書投函す 寒明けにけり選評を書きあげて 立春大吉読書三昧老婆 立春の切手箪笥を点検し 堀柳女人形「踏み絵」嫋嫋と 回想 南那須村 三句 スキップで麦踏みにゆく疎開の子 麦踏みの後手を組み疎開の子 夢の中でも麦踏んで疎開の子 ある朝 奥会津より本郷へ雪間草 老女励ます一束の雪間草 ご自宅の庭の蕗の薹を毎年届けて下さる方のありて 七句 朝一番の軽き荷は蕗の薹 青竹小籠蕗の薹十五粒 衣うすく揚げてまんまる蕗の薹 つぎつぎ揚がる蕗の薹冷酒で 母揚げてくれし摘みたて蕗の薹 父と母兄に供ふる蕗の薹 蕗の薹俳句修行の七十年 |