aoilogo2021年8月藍生主宰句
浜木綿と師とひきがへる
黒田杏子


  日没後にひらく浜木綿。お招きを受けて会社より直行。いそ子奥様にお夕食も賜る。
   遠い日の雑草園十句。先生九十三歳の頃。

浜木綿の香に鳴りいづる星の数
夕星や浜木綿と師とひきがへる
浜木綿に桐の庭下駄素手素足
浜木綿に金のまなぶたひきがへる
雑草園主人浜木綿とひきがへる
書屋まで浜木綿の香のあふるゝよ
星のひかりと浜木綿とひきがへる
  先生は
4Bの鉛筆句帳星涼し
師弟競詠雑草園浜木綿
矍鑠と浜木綿の香に寿老人
  二〇二一年五月十五日 嵯峨野僧伽寂庵
白寿出離者新樹して森深し
紅粉花の初花雑草園主人
ある年の母庭中に罌粟咲かせ
ほほづきの初花樺美智子さん
父の植ゑたる二株の青芭蕉
夜の噴井広葉打ち合ふ青芭蕉
日帰りの有給休暇蓮見舟
聖観世音御胸に紅蓮
  七月三十一日
ひらきつぐ山気につどふ山百合忌
昇る日に大山蓮華雲岩巌寺


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