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黒田杏子
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毎年冬になると、鴨のために毎日定時にあちこちの橋の上から大量の食パンの耳を 投げ与える人々が居られます。それを空中ですべて横取りする都鳥の大群を何度も目 撃してきていました。大好きな都鳥ですが悪党です。 あすは来るきつと来る来る都鳥 先陣の朝日に睡る都鳥 都鳥一羽一羽に朝日射し 乱舞乱舞朝日に乱舞都鳥 あをぞらの日に日に深し都鳥 空中にぱつと拡散都鳥 泳ぐ鴨その上を舞ふ都鳥 鴨のパン奪ふ悪党都鳥 鴨への餌すべて収奪都鳥 華麗なる悪党集団都鳥 飛び交つて華麗悪党都鳥 汝や美し汝や悪党都鳥 遥かなる虹の彼方に都鳥 ま昼間の日にちりぢりに都鳥 まぶしみてわが盟友の都鳥 都鳥詠むくり返しまき返し 五十年わが歓喜なり都鳥 けふも一日また都鳥見て巡り おだやかに夕日に染まる都鳥 東京にゆつくり睡れ都鳥 |