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黒田杏子
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祝電が来る朝顔の咲き揃ひ あさがほを眺め新幹線始発 朝顔の母の好みの縹色 あさがほの縹まことに母の色 朝顔の縹のけさもひらきつぎ 昇りくる日にあさがほの咲き揃ひ 瑠璃群青縹紫牽牛花 入谷より 母に届けし朝顔の団十郎 いつよりかわれ朝顔の種を蒔かず あさがほや喧嘩もせずに年重ね 七階の朝風紺朝顔一花 あさがほや六十年をふたり棲み 贈られし鉢あさがほの濃紫 あさがほや一汁一菜紫蘇ごはん なつかしき母の言葉と朝顔と あさがほや姉妹弟存へて ふたり早起き朝顔を見て廻り あさがほに噴井の水の届きけり あさがほのひらきて凋む他所の庭 本郷弓町あさがほの瑠璃の坂 |