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黒田杏子
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長崎忌前田万葉枢機卿 いもうとの記憶四歳終戦日 終戦日南那須村小学生 曝書して躍動の文字青邨と どこへも行かず酷暑見舞の切手選る 出かけずに封書一通を曝書 鷺草もけさひらきましたと葉書 ナサニエル・ローゼンバッハ処暑の月 遠雷やひとりひとりの句に朱筆 遠き蝉ふたり休憩遠き蝉 みんみんや紅茶に沈めいちごジャム 写真家と俳人の窓流れ星 立秋熱風やうやく「藍生」三十年 全県に句友会友白銀河 添削をして選句して稲光 七階の窓あけて暁法師蝉 おだやかによく睡るひといなびかり 函開けて梅酢梅干麻マスク 筆写してなほ筆写して野分雲 栃の木の大きな机稲光 |