転びけり立ち上がりけり月明り　　　　

青年といふ爽やかな無分別　　　　　　

ふくよかに風の生まるる芙蓉かな　　　

朝顔のこの一輪を愉しみて　　　　　　

対岸の芙蓉を残し昏れてゆき　　　　　

枸杞の実の甘き一粒雨粒も　　　　　　

盆の客漫画の部屋に籠りけり　　　　　

存ふるその先のこと鉦叩　　　　　　　

分けて置く癖ぶだうの皮・種・芯　　　

福島晩夏被曝の牛と老いてゆく　　　　

水の音聞こゆる風の盆終はる　　　　

獺祭忌途方に暮れて生きてゆく　　　　

もう老ゆることなき人ら小鳥来る　　　

明日死ぬかもしれないから栗ご飯　　　

霧螢帰るときには雨螢　　　　　　　　

じっとしてゐる秋の日に溶けてゆく　　

鍋太郎引退記念芋煮会　　　　　　　　

北向きの部屋の文机野菊挿す　　　　　

ジョン・レノンかかる店なり秋の蝿　　

火のそばを離れずにゐる虫のこゑ　　　

長尾美知子

栗島　　弘

竹内　克也

半田　真理

浅見　宏子

深津　瑩子

内山　森野

深津　健司

剱持　育代

古橋　淑子

さとうかしこ

深津　瑩子

深津　健司

佐柳恵美子

深津　健司

長尾美知子

三好美津子

後藤　清美

小池　啓子

半田　真理