aoilogo2016年3月藍生主宰句
雛の夜
黒田杏子

  朝日賞のひとに 二句
存在者寒満月のその真下
存在者兜太の旅路梅ひらく
  悼 金子千待先生 三句
父を継ぎ兄護られし冬銀河
梅椿万作躍るその御霊
お家元寒満月の一生なる
  星野立子賞の藺草慶子さんに
念ずればひらく真冬の大花火
日本橋京橋銀座雛の灯
姉ひとり妹ひとり雛の夜
なかんづく父を語りぬ雛の間
  吉徳ひな祭俳句賞選者を単独で三十二年
雛の句えらみえらみて喜寿迎ふ
節分のわれ等七十七の豆
凡太さんアビゲールさん寒明くる
寒明くる杖いつぽんの巡礼者
立春の榊せい子の立姿
  野生化して群をなし
連れだちてくる立春の鸚哥五羽
  小学一年生の女児の句に「ひなあられいちどもたべたことがない」とあれば選者として
式根島にも送りましよ雛あられ
大寒の有明の月みて独り
かなしきことをかなしみて花を待つ
かなしみてよろこびて花待つことに
夕櫻夜櫻やがて朝櫻


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