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黒田杏子
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朝日賞のひとに 二句 存在者寒満月のその真下 存在者兜太の旅路梅ひらく 悼 金子千待先生 三句 父を継ぎ兄護られし冬銀河 梅椿万作躍るその御霊 お家元寒満月の一生なる 星野立子賞の藺草慶子さんに 念ずればひらく真冬の大花火 日本橋京橋銀座雛の灯 姉ひとり妹ひとり雛の夜 なかんづく父を語りぬ雛の間 吉徳ひな祭俳句賞選者を単独で三十二年 雛の句えらみえらみて喜寿迎ふ 節分のわれ等七十七の豆 凡太さんアビゲールさん寒明くる 寒明くる杖いつぽんの巡礼者 立春の榊せい子の立姿 野生化して群をなし 連れだちてくる立春の鸚哥五羽 小学一年生の女児の句に「ひなあられいちどもたべたことがない」とあれば選者として 式根島にも送りましよ雛あられ 大寒の有明の月みて独り かなしきことをかなしみて花を待つ かなしみてよろこびて花待つことに 夕櫻夜櫻やがて朝櫻 |