![]() |
|
黒田杏子
|
六月二十三日 「雨洗風磨」にて五句 露草の露をとどむる沖縄忌 さくらんぼあんず沖縄慰霊の日 平和てふ大粒杏子箱に熟れ 押して叩いて洗へよと芭蕉布は 白玉や譲れぬことは譲れぬと 六月二十七日−二十九日 黒羽芭蕉の里全国俳句大会「花月」泊 四句 箒川那珂川今宵河鹿笛 近づいて風に遠のく河鹿笛 まつもとの月くろばねの梅雨蛍 西瓜割る十年祭のひとのこと 七月一日 無量光院本堂落慶法要参列 五句 高野まみどり荒梅雨に落慶す 母樹杉の径荒梅雨を聴けとこそ 青梅雨の山気玉石堂主人 巨いなる古硯たまはる梅雨の雷 去りがたし梅雨蜩の霧の山 七月五日−六日 さくらんぼの都市さがえ全国俳句大会 行 五句 寒河江までゆく早発ちの髪あらふ 背伸びして摘むさくらんぼ紅手毬 明日摘むといふさくらんぼその樹下に さくらんぼ選果親燕びゆんびゆん 贈らむとしてみなかの世さくらんぼ 八月十日 染めしことなきこの喜寿の髪あらふ |