aoilogo2015年8月藍生主宰句
梅雨蜩
黒田杏子

  六月二十三日 「雨洗風磨」にて五句
露草の露をとどむる沖縄忌
さくらんぼあんず沖縄慰霊の日
平和てふ大粒杏子箱に熟れ
押して叩いて洗へよと芭蕉布は
白玉や譲れぬことは譲れぬと
  六月二十七日−二十九日 黒羽芭蕉の里全国俳句大会「花月」泊 四句
箒川那珂川今宵河鹿笛
近づいて風に遠のく河鹿笛
まつもとの月くろばねの梅雨蛍
西瓜割る十年祭のひとのこと
  七月一日 無量光院本堂落慶法要参列 五句
高野まみどり荒梅雨に落慶す
母樹杉の径荒梅雨を聴けとこそ
青梅雨の山気玉石堂主人
巨いなる古硯たまはる梅雨の雷
去りがたし梅雨蜩の霧の山
 七月五日−六日 さくらんぼの都市さがえ全国俳句大会 行 五句
寒河江までゆく早発ちの髪あらふ
背伸びして摘むさくらんぼ紅手毬
明日摘むといふさくらんぼその樹下に
さくらんぼ選果親燕びゆんびゆん
贈らむとしてみなかの世さくらんぼ
  八月十日
染めしことなきこの喜寿の髪あらふ


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