金の日をぽつと吐き出す春の海　　

啓蟄や雲も遊びにゆく気配

パセリあをあを雀らに春の雪　　　　

人間を鹿の振りむく雪解風　　　　

死んではならぬと卒業の教へ子に　

大切なものはしまふな春の月　

桜開花まひる小さきラジオ告ぐ

初桜一羽滑空して来たり　

ほほ笑みて居れば事なし春炬燵　

いちめんといふ清しさをいぬふぐり　

梅林や前行く人に日の差して　　　

春疾風町で遊んで野に憩ふ　　　　　

留守番の独りに広き春炬燵

春蘭や母ののこしてゆきし庭　

避難者とふ友よ三月十一日　　　　

灯を消して深夜ラジオと浮かれ猫　　

九十のははに親しき雛の客

聖堂にゆらぎて果つる春の燭　　

野に遊ぶ人それぞれに影連れて　　

蓮如忌の畑這うてくるうす煙　　

春一番少年くるりとうら返り　　

揺れてゐる枝に椿を見つけたり　　

無　　尽蔵

石田　六甲

城下　洋二

石橋玖美子

沖山　充弘

桑田津海坊

竹内　克也

鈴木　信幸

石田　六甲

石橋玖美子

田邉　文子

秋山　洋一

菅原　　華

寺澤　慶信

成岡ミツ子

半田　良浩

原田　桂子

後藤　清美

菅原　有美

栗島　　弘

増田眞理子

田中　修明