aoilogo2011年5月藍生主宰句
彼岸満月
黒田杏子

春雪の嵯峨野僧伽にラサの客
梅東風や句帳一綴杖一本
花を待つ一日一句書きとどめ
われとわが鬼もろともに豆を打つ
涅槃雪深し重しと高野より
はこべらの白和へ土筆の白和へ
月の月のひかりを晩白柚
咲き揃ふ雪割櫻雪を招び
修二会椿の散り初むる夢の奥
白光の庭よぎりくる白蛇か
啓蟄の白炎ほそきほそき蛇
白蛇の土中のひかり負ひ走り
ひと息に去る白き蛇散椿
母子草一茎土筆ぞくぞくと
祷りけり彼岸満月祷りけり


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