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黒田杏子
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月に濡れ白曼珠沙華十二本 十月十七日「河野裕子を偲ぶ会」グランドプリンスホテル京都にて。献花千余名 白菊千本ほほゑみのとこしなへ 十月二十八日古舘曹人大兄長逝。十一月六日朝に知る。葬儀・告別式など不要とされ、 晩年は居所も明かされなかった。九十歳。八句を捧ぐ 時雨聴くやうにまなぶた閉ぢられしか 死仕度完了銀河列車発車 すがれゆく秋草庭に摘みて挿す 句集重ねて九度山の柿載せて お好みのもの蕪鮓なかんづく 白粥と銀水引と白湯供ふ 粛条と花野証跡なかりけり ひとつづつ捨てて最期の露の玉 朴の葉の炎で仕舞ふ落葉焚 佛壇も神棚もなし夜なべして 十一月十九日「あんず句会」二十五周年 冬麗の句座冬麗の微笑佛 木葉髪この世いよいよ佳境とも 臘八のあした行僧うつくしや |