子の丈に風が集る風車　

あるじなき住み家のあとに蜂一匹　

蛇穴を出づ父と乗る救急車

日のさして椿の蕊の総立ちに

冬櫻なほ慎ましく生きてゐる

松明にわが身をこがす津波の夜

遍路転がる谷底の桃さくら

春の地震哮るブロッコリー叫ぶ

ひとつ断ちひとり祷りて春寒し　　　　　　　　　　　　

ぬかるみをすつと抜け出る初音かな

椿落ち天地かすかに揺れにけり

月の出をなほ囀れる南蛮寺

寂庵の椿うすべに静かなり

比叡山高々と鳥雲に入る　

春星のまたたき祈るほかのなく　

耐えて待つ人々強き春星座

風よ届けて春寒き鎮魂歌

風去って久しき闇に椿落つ

春灯を一つ落として鎮めけり

月朧命の長さ誰が決める　　

幾度も老父を見舞ふ春の雪　

お松明炎よ天に地に届け

弓成りに耐えをる祖国春の果

優しさが日本を救ふ四温光

びりでもいい強東風の土手駈けくれば　　　　　　

料峭の雪舞ふ義援金送り　　　　　　　　　　　　　　

一夜又明けて彼岸の入となる　　　　　　　　　　　

鎮まらぬ地震散りやまぬ梅真白

らふそくの一つに集ひ冴返る

千二百六十回目お水取り　　　　　　　　　　　　　　

地震の夜も練行衆のご声明

未来図をひつくり返す春の地震

大試験終了ベルの鳴り響く

橋本　榮治

上野　　敦

曲子　治子

滝川　直広

植田　珠實

植田　珠實

出井　孝子

河辺　克美

安土八重野　　　　　　

宮永　麻子

今坂　雅子

森光　梅子

中村　昭子

藤平　寂信　

長　　晴子

長　　晴子

河村　喜代子

大澤　玄果

大澤　玄果

井崎　ユキ子

清水　憲一

北垣　みどり

山川　久美子

大出　勝重

億　　みき

寺島　麻里

寺島　麻里

畝　加奈子

畝　加奈子

安井　加奈子

中川　恭子

氏野　光子

宮田　泰子