例会トピックス 

第204回 藍生3月例会

(平成22年3月7日)
会場:池袋芸術劇場大会議室

主宰ご出句

雛納して空襲に失せし家

春愁と書きまた消して日記閉づ

  福家長吏さま三月八日ご本葬
櫻木の精長吏さま振向かれ



特選句
 

内ゲバに斃れし友よいぬふぐり   

とりかへて雛をつつむ吉野紙

帰る雁人のことばに啼き交はす

あかあかと雨後を春月のぼりくる

牛丼を黙つて喰らふ春浅き

一方の眼に啓蟄の万華鏡

春泥を闊歩イーストフィフスストリート

息とめて雛の紅を引き直す

雛飾る今年限りと思ひつつ

此の世ではしづかに酔はむ木の芽和

共に住むだけの孝行桃の花

うすらひの光を踏みて桜山

水槽に生きものをらぬ春の雪

夜の更けて大人ばかりの雛座敷

隅に火を起こして畑を打ちはじむ

雨音やあしたは仕舞ふ雛の間

ぼんぼりを灯して暗し雛の間

芽ざくらに立てかけてある古畳

オルゴール母にはいつも雪が降る

受難週に入る残りし鴨に声をかけ

暖かし口笛吹いて妻呼べば

春一番女の歩みに追ひ付けず

あてもなく流氷とわれ白き鳥

朝の日を切り裂くやうに鳥帰る

すこしばかり耳のとほくて鳥ぐもり 

牛嶋 毅

成岡ミツ子

山口都茂女

今野志津子

竹内 克也

渋谷 澪

金  利恵

南行ひかる

水野 浩子

後藤 洋

河村 信子

中村 朋子

山崎志夏生

成岡ミツ子

盛田 道子

深津 瑩子

小木曽仁子

小池 啓子

山口都茂女

神保 洋子

水野 浩子

無  尽蔵

岡崎 弥保

半田 良浩

栗島 弘 

 

記:石橋 玖美子


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