皹や一と月前は死んでない

白梅やぴたりと合ひし父の服

しらうをの生かされてゐる青磁皿

あはくあはく影曳く針を祀りけり

寒明の雪降る磯見漁師かな

春の大風一杯の鰊蕎麦

我を打つ追儺の豆をいただきぬ

いぬふぐり小さき望みつみかさね

白鳥の帰る小学校の空

築四十年春の雪ふりはじめ

焦げてきて草のにほひの草の餅

職決り二月礼者となり来たり

すれちがふ人に田鳧と教へけり

忘れ居りし言葉継ぐごと春の雪

くれなゐの糸を曳きたる納め針

まういちどさはって帰る猫柳

雪の扉を押しくる二月礼者かな　

人の持つものに足音冴返る

柊挿す父の残せし釘に挿す

バレンタインデーとげぬき地蔵に行くといふ

山口都茂女

桑田津海坊

山崎志夏生

今野志津子

藤井　正幸

田邉　文子

安居須美子

牛嶋　　毅

森田伊佐子

栗島　　弘

中村　朋子

江上　洋子

安居須美子

石田　六甲

深津　健司

山崎志夏生

鈴木　　仁

石橋玖美子

原田　桂子

横井定利