aoilogo2010年9月藍生主宰句
あさがほ
黒田杏子

一人の死して六月十五日
桑の實を摘みてほんのり甘く煮て
月鉾の大夕立ののちの丈
嵯峨野僧伽の土用芽を刈りすすむ
梅雨明けにけり顔の皺首の皺
  秩父吟行七句
玉蟲のしばしおへんろさんの肩
その山に武甲鬼百合ひらきつぐ
玉蟲を巡礼の野に還しけり
晩さんののち玉蟲を野に放つ
山上の朝日観世音遥拝
炎ゆる雲一朶光背観世音
頭部欠く馬頭観音土用東風
あさがほをしばしほとけに縹色
立ちどまる初ひぐらしのたそがれに
友の大方寡婦となり泳ぎけり


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