![]() |
|
黒田杏子
|
四月二十二日坂東吟行第十八番補陀落山中禅寺 猿跳んで雉子の啼いて雪解瀧 観世音のほとり雪解湖のほとり 残雪や?りてこころ立て直し 森光梅子さん第一句集「旅人木」に 亀鳴くや日和佐の句座をなつかしみ 東京の藤散りやまず咲きやまず 新茶供ふる青邨師百十五 切りわけて八十八夜土佐小夏 日光月光あまねき日初鰹 軽暖のあけくれ碑文字書き継げる 生れきし子瞑れるひと青嵐 雪解富士沼津あけぼのまくれない 顔ゆがむひと月の八十八夜 佐渡小木の竹風鈴をまづ吊りぬ 五月十五日八十五歳となられた日「秘花」刊行される 寂聴さんゆく手ゆく手に夏の蝶 永井雪狼さん第一句集「湖の韻」に みなづきの月光湖にあふれつつ |