例会トピックス 

第167回 藍生3月例会

(平成18年3月12日)
会場:文京シビックホール

主宰ご出句

 おぼろ満月垂直に那智の瀧

 生くる病む老ゆるこの世を発つ朧

 かたかごきぶし久世光彦は居ない


特選句
  繕うて母の遺せし雛葛籠 深津 健司
  夕暮の川から戻る雛の間 田邉 文子
  母の雛棺に眠るごときまま 田中 修明
  すくと立ちかの沓の音修二会僧 岡崎 弥保
  ランドセル背負ひたるまま雛の客 小林 由紀子
  畳の上に母は死にしよ桃の花 今西 美佐子
  梅の雨はげし弁当六十個 中村 朋子
  初蝶や音大生の保証人 田中 啓介
  三月の雲へ金魚のひるがへり 今野 志津子
  啓蟄や道に大きな水たまり 有住 洋子
  ものの芽や身をそぐごとく物捨てて 深津 瑩子
  出稼ぎの工夫投函春一番 田中 修明
  春雨を舟で近付くお城かな 大場 敦子
  兄の家父の植ゑたる花木五倍子 鈴木 仁
  ちちははの亡したんぽぽをまたぎけり 栗島 弘
  じぶんといふ荷物やはらか春の月 はたち よしこ
  春一番母の消息知らさるる 軽部 梢
  修道士離ればなれに耕して 木津川 珠枝
  一ツ松大いにうねり鴨残る 大場 敦子
  春雪や夜の障子を開けに立ち 水巻 令子
  春愁や甘食の芯つめたくて 植村 やよひ
  山畑に棲みをる猫の恋をして 石川 秀治


記・写:後藤 洋


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