例会トピックス 

第171回 藍生10月例会

(平成18年10月22日)
会場:科学技術館第二会議室

主宰ご出句

月を待つ佐渡の時宗の坊守と

  佐渡新穂村牛島神社
月祀る拭き清めたる能舞台

月走る佐渡の星座を従へて

 
  ○全方位愁思如意輪観世音      
◎秋深し為すことはほかにないか   
  目に隈の出でて母似や菊膾     
  虫の音の故国へ還りゆくねむり   
  水澄めり造百年の石の橋      
  点在の廃屋覆ふ葛の花       
◎秋草あふるる周作偲ぶ会      
  ともしびや窓に親しき虫の闇    
◎墓守のすつと秋草摘みくれし    
  爽籟や笛十管の獅子の舞      
○箸作る人を語りぬ雁渡し      
○古書店の秋の祭りの日のみ開く   
○枯れてゆくものばかりなり坐りけり
◎吹かるるたびに秋草となりゆける  
○八溝嶺の影曳き絞る下り簗     
◎月の畳に佃煮を商ひぬ       
  色鳥の一樹に隠る山雨かな     
  実山椒母の諭せしこといくつ    
  野分去り月美しき二夜かな     
  野良猫も飼ひ猫もみぬ極暑かな   
  菊月の眉ていねいにととのふる   
○掃除機と畳たてかけ月の寺     
  幕末の三舟展や水の秋       
○鳥渡る岩の教会木の教会      
◎そこそこの酒に小魚虫の声     
  小さき小さき目高を貰ふ秋の昼   
○出土品棚にあふるる月夜かな    
◎深秋や石段に坐す父と子と     
◎残る虫夜空に煙草くゆらせて    
  松手入ときに樹上で語り合ひ    
◎にこにこと和尚酔ひゆく雨月かな  
○物言はぬ男と食べる栗ごはん    
  里山のその一画の稲の秋      
◎いつからを過去といふのか鉦叩   
○さはさはとしぐるる高野秋遍路   
  烏瓜なども供へて月祀る      
  鰯雲短かきときを共に棲み     
○流さるるものに添ひたり秋の水   
◎まつ直ぐな通ひ路秋の深みけり   
  箱あけて大きな林檎香り立つ    
○知らぬ子に手渡されたる椿の実   
◎一献を月に捧げてよりのこと    
  片側は気早にユリノキの黄葉    
  急流の音ひびきくる小豆干     
○病身の吾に夫在り紅葉狩      
◎はらからは無し満月を真正面    
  水底に小石のひとつ十六夜     
◎老人が子供を連れて鹿の前     
  お柩に着替への袷十三夜      
◎洗うものわづかな厨虫の声     
  新豆腐一丁坂道帰りけり      
○この秋の映画楽しき日のありぬ   
  新豆腐買うて月待つ家となる    
◎お道具を家族でみがく親鸞忌    
  一つ松謂れの書かれ手入れされ   
○月光裡少年ひとり魚を釣り     
  サイレンの止みて良夜に戻りけり  
◎草の花までてふてふの下りてくる  
◎なんといふ銀色の空白鳥来     
◎鰯雲いくつか橋を渡りをへ     
◎育て来し一鉢の蘭月を待つ     
○蓑虫に信頼されてをるこの木    
○秋をたづねて谷中より千駄木へ   
○門に出て父われを待つ柿熟るる   
岡崎 弥保
上村 章子
盛田 道子
鈴木 仁
齋藤 たかし
木津川 珠枝
岩井 久美恵
安達 潔
田浦 伊久子
各和 正雄
木津川 珠枝
入沢 まき子
栗島 弘
田邉 文子
加藤 たみ子
浅見 宏子
風間 博明
山本 陽子
高橋 ほつ枝
智久 薫子
岡崎 弥保
寺澤 慶信
新原 澄子
門奈 明子
内山 森野
渡辺 公世
有住 洋子
山口 恭徳
城下 洋二
小松 勢津子
二宮 操一
河村 信子
原田 桂子
深津 健司
野木 藤子
小松 勢津子
河村 信子
青天子
後藤 洋
新原 澄子
三木 潤子
大貫 瑞子
渡辺 公世
鎌田 ゑり
田中 浩子
大場 敦子
有住 洋子
盛田 道子
植村 やよひ
城下 洋二
田邉 文子
風間 博明
深津 瑩子
河村 信子
小松 勢津子
中村 朋子
田浦 伊久子
栗島 弘
田中 浩子
有住 洋子
鈴木 信幸
二宮 操一
寺澤 慶信
鳥井 月清




記・写:後藤 洋


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