aoilogo2006年8月藍生主宰句
草笛
黒田杏子

ほたる袋に放ちけり島ぼたる
ほたる来よ佐渡の世阿弥の坐り石
松蝉や老いていよいよ昼の酒
白蛇の草庭をゆくひかりかな
夏至の朝茶の雨の香をなつかしみ
青梅雨のあはれ一叢青芒
夏至の雨石川秀治立ちどまり
朝は新茶おひるごはんのあとは古茶
於母影や浅間暁けゆく遠郭公
郭公の郭公と啼く軒端かな
墨磨れば暁ほととぎすわれを呼び
昼灯す弥生子の書斎ほととぎす
星空へよよと近づくひきがへる
貝塚の奥よりきたるひきがへる
青梅雨を聴き草笛を聴き訣れ


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