例会トピックス

 
あんず句会(藍生関西5月例会) 
(平成18年5月19日)
会場:曼陀羅山 寂庵
兼題:青葉・麦の秋・更衣

主宰ご出句
主宰は当日所用で欠席されました。  

特選句
観音に来ててふてふもげぢげぢも      橋本 榮治
暁闇の幹の濡れ居る立夏かな          〃
君は猫と我は子とゐる青葉闇        河辺 克美
銀の帯銀の扇の立姿               〃
更衣水かげろふのひとところ         宮永 麻子
更衣へて開き直れるかもしれず        曲子 治子
早三年湖畔に三度麦の秋          藤平 寂信
定年にやうやく馴染む麦の秋        橋本半風子
青葉光この交差点で別れましよ        中村 昭子
扁額の歪みを正す更衣           宮田 泰子
空蒼き日のしろがねの桐の花        岡本 弘子
夕日さす湖北くわんおん夏至しづか      氏野 光子
遠きより夜のちかづくほととぎす       大出 豊子
雲英文庫柿衛文庫柿若葉          奥  良彦
夏蝶のサンバのごとく吹かれ来し       安土八重野
青梅の大きく育つ新居かな          権瓶 玲子
生涯の道一筋の更衣             岡村  藍
青葉山観音堂の水汲みに           森光 梅子
ひと雨を力に早苗濃くなりぬ         畳谷 智代
血と肉と骨とたましひ更衣          出井 孝子
麦秋のふらんすへゆく旅仕度           〃
麦秋や海鳴りやまぬ岬の村          中條 かつみ
母逝きてふり仰ぐ空さくらんぼ          〃
さみしきこと言ふ十薬の莟みかな       植田 珠実
父四十年忌しみじみと桐の花        長  晴子
寂庵に光をあつめ新樹雨           茶谷 幸子
図書室のカーテンは白麦の秋        井崎ユキ子
わが町へ茶摘体験者ぞくぞくと       億  みき
五月雨るる旅の夜の膝抱きけり       三枝 桂子
大輪のぼうたん母と思ひけり        横山 笑子
ぼうたんに五十は淡き齢かな        本郷 熊胆
馬鈴薯の芽を掻く山に囲まれて          〃
嘘よりも冷たきまこと青葉闇        七波 真理
ほそき雨青葉に骨を納めれば           〃
麦の秋ぽつんと家の建ちにけり       渋谷  澪
 




 
一重丸句
  青梅の落ちて大日如来かな         橋本 榮治
合戦の絵巻一幅端午なる          永井 雪狼
更衣したり五感のかろがろと          〃
藤房にかくれてみたし絵のやうに      宮永 麻子
更衣して逝きし人また憶ふ         洲崎 展子
四方より青葉若葉のゆるる音           〃
麦秋を戻りぬ父のゐるやうに        曲子 治子
青葉風切つて踊り子号迅し         藤平 寂信
まだゐたか衣を更へて半風子        橋本半風子
麦秋やおむすびについてくる入歯      中村 昭子
炭点前宮居の青葉しづかなる         宮田 泰子
大安に女房の部屋の更衣          今阪 雅子
賀茂祭牛啼きながら供奉の列            〃
卯の花や黒髪濡るるたび老いて       岡本 弘子
誰がために句を詠む愛し桜貝        氏野 光子
土作り薔薇育て薔薇咲きにけり       奥  良彦
父母の麦刈る音をなつかしみ        安田 和子
飛行船ゆくりゆつくり麦の秋        野埜 百合
脳画像鮮明にして遠かはづ         安土八重野
冬物をしまふ巣つばめ軒ふかく       田邉 閑雲
鳥のこゑいよいよ満つる緑雨かな       権瓶 玲子
雨深し青葉深しと蛇の目傘          岡村  藍
島原に蕎麦打つ青葉しぐれかな        森光 梅子
更衣へてしづかにものを言ふ男        畳谷 智代
葉桜にまだ胸騒ぐ余韻かな          桑瀬 糸子
淡白な和菓子の色や更衣           太田 智子
麦秋や体操教室申込み              〃
さみだれやここから川の名が変はり      宇高 徳子
青梅のあをき光りのぬれてをる         〃 
梅干して少し開けおく納戸かな        植田 珠実
つばくらや青岸渡寺はまだ先か        荻野りゅう
言論の自由誓ふ日鯉幟              〃
寂庵へ青葉若葉の道急ぐ           永井 孔雀
寂庵の初夏の薔薇ただしづか         今井 わこ
衣更へて合掌をして一之橋            〃
更衣あしたの雲をまぶしめり         滝川 直広
青葉より覗く異形の者のかほ           〃
まづ姉へ青葉若葉のたよりして        橋本 良好
新緑の時空に曝す身と心           寺島 麻里
夫とふたり世間話を更衣             〃
鯨の尾型どる墓石青葉潮           中川 恭子
更衣無沙汰の便り二つ三つ         井崎ユキ子
更衣したるしばしの寒さかな        川勝 洋子
早々と衣替へたる伊達な奴           〃
くわんおんの山低く阿波麦の秋        三枝 桂子
はつこひの祈りにも似る青葉風        水谷 紀子
麦秋や辺地をめぐりしことなどを       米田多美子
麦の秋たれかが駈けてくるやうな         〃
空き缶踏みをつぶす夜の新樹かな       橋本  薫(大阪)
巡礼の旅に出ようか麦の秋          大出 勝重
杖に據る少し遠出の青葉照         佐藤 静江








             
記:寺島 麻里   写真(c):長 晴子


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