例会トピックス 

あんず句会(藍生関西2月例会)
 (平成18年2月17日)
会場:曼陀羅山 寂庵
兼題 余寒・追儺・草青む

主宰ご出句
奥の院まで月光の涅槃雪
   思はざる事態となりて
一澤帆布二階に集ふ余寒かな
月光のあふるるままに涅槃雪
寂庵の雛の間とはなりにけり
今井豊杖捨てしてふ余寒かな 

特選句
  を挿す爺は九十波しづか  氏野 光子







  冥く冥く真昼のことを水仙花 橋本 榮治
  捨てられて青き追儺の鬼となる          中村 昭子
  子を叱るこゑも混じれる鬼やらひ         出井 孝子
  笛方に手焙りふたつ余寒なほ           永井 雪狼
  水温みけり人発ちて鳥去りて           橋本 榮治
  いぬふぐり犬に引かれてゆく媼          河村喜代子
  今生最後の年男豆を打つ             藤平 寂信
  白魚汲む水のおぼろを汲むやうに         畳谷 智代
  二ン月の寂庵の風眼を閉ぢて           藤岡 値衣
  海鳴りの砂深く踏む余寒かな           曲子 治子
  逃げて来よ追儺の鬼よここに来よ         荻野りゅう
  余寒なほ陽のもてなしに身を寄せて        塩路 五郎
  草青む其処まで海の来てをりぬ          出井 孝子
  さめぎはの夢のつめたさ草青む 河辺 克美
  柊挿す裏のぬれ縁細柱 億  みき
  ふたり居てふたりの卒寿鬼やらふ         曲子 治子
  おほかたは真つ暗な部屋豆を撒く         太田 智子
  鬼やらふ山山雪を置く湖北            大出 豊子
  立春てふ日差しの中に生きてゐる         荻野りゅう
  習作の母の雛を形見とす 安土八重野  


一重丸句
  八講の荒れこころざし震へけり  藤平 寂信






  榾となる流木海女の磯竈             中条かつみ
  春燈やさとうかしこのチョコレート        橋本  薫
  初蝶のむくろ朝日に残しけり           河辺 克美
  父母の棲む岸辺に寄する余寒かな         寺島 麻里
  チューリップ二寸ばかりの影おきぬ        今阪 雅子
  草萌や鴉よこむく石の上             今阪 雅子
  住み替ふる心に走る余寒かな           茶谷 幸子
  駐車して返り見る癖草青む            佐藤 静江
  焼芋の香が雪国の居酒屋に            本郷 熊胆
  余寒なほ松葉にひかる雨の玉  太田 智子
  春の雪淫らな夢に降りつもる 七波 真理
       よね
芸妓米さん八十の春ともし
滝川 直広
  片隅に火のある春の鏡拭く            畳谷 智代
  なほ北に行く客おくる追儺かな 合田 圭希
  二つ三つ無駄をゆるして春立てり 中川 恭子
  草青む大地五寸を裏返し 永井 孔雀
  星ことに強くまたたく追儺かな  長  晴子
  夜半に聴く春立つ雨でありにけり         下山 容子
  二三粒そつとつぶやく鬼やらひ          今阪 雅子
  追儺の夜鬼に会はねば払はねば         洲ア 展子
  太刀振るふ巫女はおさなし節分会         氏野 光子
  梅ましろ冷酒のやうな日の光           大出 豊子
  春星や声明にふとまどろみて           長  晴子
  画学生画家好々爺春隣 曲子 治子


記:長 晴子 写真(c):長 晴子


戻る