例会トピックス 

第163回 藍生10月例会

(平成17年10月2日)
会場:科学技術館第三会議室

今回は杏子主宰が不在のため、藍生賞作家を中心とした次の方々による各10句選です。


選者:
(正)藤井正幸、(慶)寺澤慶信、(弘)栗島弘、
(都)山口都茂女、(美)今西美佐子、
(文)田邉文子、(健)深津健司各選


選句
  (正) 今日ぎりの暑さと言へり法師蝉

中村 朋子

  (正)(美)(文) 道真の絵馬濡れてゐる秋祭り 深津 瑩子
  (正)(文) 吹奏楽きこえてきたる曼珠沙華 有住 洋子
  (正) ラ・フランスの暗く甘く柔らかし  高橋 由枝
  (正) 大版の印画紙月の渡りゆく 有住 洋子
  (正) 白芙蓉もう夕方になってをり 田邉 文子
  (正) をしみなく僻地に熟るる榠?かな 小木曾 仁子
  (正)(都)(文) 待宵の海原遠くまで見ゆる 有住 洋子
  (正)(都)(美)(文) 木の実降る働く母の児らに降る 植村 やよひ
  (正) 十月の空とて嘘の二つ三つ  田川 研一
  (慶) 人待てば月ゆるやかに上るりたる  岡崎 弥保
  (慶)(健) 虫の音にさめ虫の音に眠りけり 田中 修明
  (慶) 満月の風に吹かるる毎あをく 古橋 淑子
  (慶) 田の神の湯呑を秋の風が吹く 栗島 弘
  (慶) 新豆腐あれば事足る夕餉かな 田中 美代子
  (慶) 秋蝶の落ちゆく先は甲斐の国  森田 伊佐子
  (慶) 鰯雲ひろがり佐伯祐三展 木津川 珠枝
  (慶) 苦も少しずらせば笑ひ蕎麦の花 桑田 津海坊
  (慶)(弘)(健) 一枚の布一生のこの夜長 山口 都茂女
  (慶)(健) 仏前に種をこぼせり吾亦紅 軽部 梢
  (弘)(美) 灯のうすきところにすはり虫売女 大場 敦子
  (弘) 戸口出てつまづきさうになる良夜 岡崎 華与
  (弘) 八溝はや雨に炭焼く煙かな 森田 伊佐子
  (弘) 秋風や毀れ易きを積み重ね 後藤 洋
  (弘) 地に鳥の寄せてはかへす野分かな 小池 啓子
  (弘)(美)(健) 西鶴忌鍋たぎらせてゐたりけり 藤井 正幸
  (弘)(美)(健) 日の暮にまた雨となる秋海棠  田邉 文子
  (弘) 何を怖れて蟷螂の眼の大き 古橋 淑子
  (弘) 月光の白曼珠沙華を畏れ 深津 健司
  (都) 甲斐犬の黒き疾走大花野  水野 浩子
  (都) あはあはといつしか色や實むらさき  鈴木 信幸
  (都) 蓑虫の決めかねてゐる糸の丈 石田 六甲
  (都) 転がるやうに風の来て通草かな  三木 潤子
  (都) 曼珠沙華こまごまと雲わかれゆき 住田 千恵
  (都) 韮の種採りてあまりの多さかな   三木 潤子
  (都)(文) 水底のごとき日ぐれや芒原 栗島 弘
  (都) その真下坐して月光突き刺さる 岡崎 弥保
  (美) 老人の履歴書白花曼珠沙華 田川 研一
  (美) 秋草へ小さき木戸の開けられて  浅見 宏子
  (美) すいっちょや禅林の椅子ぐらぐらす 中村 朋子
  (美) りんりんと山へ囲を張る秋の蜘蛛 田邉 文子
  (文) 吾亦紅病者の家に帰るべく 今西 美佐子
  (文) 写経終へ庫裏に頂くむかご飯  新原 澄子
  (文) ひとつとは美しきこと良夜かな 岡崎 華与 
  (文) と入る病院の待合室 岩谷 美津子
  (文) 刈田道海見ゆるまでのぼりけり 鎌田 ゑり
  (健) つやつやと薄を洗ふ野分かな 中村 朋子
  (健) 世田谷の一画といふ稲田かな 石橋 玖美子
  (健) 白式部紫式部月を待つ 山口 恭徳
  (健) ちちろ鳴く母の体温手に覚ゆ 植村 やよひ
  (健) 月餅一つ薄一本月今宵 水野 浩子

記・写:後藤 洋


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