aoilogo2005年10月藍生主宰句
瀧浴びよ
黒田杏子

    ねぶた待つ還らざる子を待つやうに
 炎熱の夜をはかなしと立佞武多
 夜空濃くなる立佞武多高くなる
 百鈴の千万鈴の過ぎて秋
 深浦に日の沈みゆく原爆忌
 銀漢の真下にゆあむ不老不死
 五能線始発露けき艫作駅
 広島忌長崎忌わが誕生日
    坂東吟行二十一番日輪寺、袋田の瀧など
 かなしびの背の荷を下ろせ瀧の前
 瀧浴びて丈高き句を献ずべし
 今井豊中岡毅雄瀧浴びよ
 目薬さす八月八溝山頂に
 八月の終る日輪寺小雨
 月待ちの瀧のほとりにしばらくは
 あめつちに句は一行の瀧の前 


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