例会トピックス 

あんず句会(藍生関西10月例会)

 (平成17年10月21日)
会場:曼陀羅山寂庵


主宰ご出句
邯鄲の名残りのこゑを暁高野
  木の実落つ母との夢の奥に落つ
  深秋の長生きの杖軽き杖
  金子兜太養生訓秋のこゑ
  けさはまだ蝶訪ねこず藤袴

特選句
  ゆつくりとけふのはじまる眼白かな
奥  良彦





  しづけさの寂庵露けさの草木    
三枝 桂子
  秋深し夜も更けたれば熱き風呂 
中村 昭子
  銀木犀人の気配の残りけり 宮永 麻子
  来し方の距離ふりむけば木の実落つ 太田 智子
  新米を炊く香や父母の在るごとし 下山 容子
  ガラス屋の妻なき店主秋刀魚焼く 今阪 雅子
  木犀の香の宝くじ売場かな 奥  良彦
  しやがみこんでずつと泣きたし秋深し 河辺 克美
  湖の小魚捌く十三夜 横山 笑子
  この鐘をついてはならぬ昼の虫 滝川 直広
  長き夜やぽつかり穴のあいたまゝ 今井 わこ
  夕づつの低し暮秋の嵐山  渋谷  澪
  土曜日の午後のあたまに木の実落つ 今阪 雅子
  銀婚の家によきことめじろ来る 橋本  薫

一重丸句






  鳥の声満つ寂庵のうす紅葉  渋谷  澪
  深秋の紅茶にひたすマドレーヌ  安土八重野
  寂庵の開く白山茶花もまた 横山 笑子
  二上山(ふたかみ)のそのま上なる後の月 米田多美子
  木の実落つ久しく便りせぬまゝに 水谷 紀子
  木の実降る風あるときもなきときも 長  晴子
  夜はよるの刻を流して木の実降る 三枝 桂子
  亡き母の手紙昼も夜も木の実降る  氏野 光子
  芭蕉葉の破れこの世を去るところ 篠田くみ子
  深秋や魔王弾く手に置鍼して 橋本  薫
  町あげて減塩の塩醸しけり 億  みき
  鼕の音のやみたる月の高さかな 原 真理子
  みづうみに映らむとして月のぼる 原 真理子
  木の実独楽しあわせそうに回りけり   向井ゆたか
  国境の落石やまず藤は実に 出井 孝子
  木津川を渡り宇治川秋深し 米田多美子
  秋深し取り残されてをるやうな 水谷 紀子
 

社の危機を論じ合ひをる秋刀魚かな

滝川 直広


記:河辺克美 写真(c):長 晴子


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