例会トピックス 

第154回 藍生11月例会

(平成16年11月14日)
会場:会場:文京シビックセンター・シルバーホール

主宰ご出句

       高野
   立冬や火の香水の香暁紅葉

   山上の月の高野の冬櫻

       高野
   立冬の香焚きしむる月の山

 
今回は主宰が急用にてご欠席の為、会員八名による各十句選を掲載します。
健司(深津健司)、薫(橋本薫、石川)、秀治(石川秀治)、都茂女(山口都茂女)、文子(田邉文子)、美佐子(今西美佐子)、祐治(中村祐治)、生氣(大矢内生氣)

 

  (秀治) 新米の代金送るお茶の水 鎌田 ゑり
  (文子) 初氷うす皮を脱ぐ白樺 海野 山椿
  (美佐子) あめつちの闇み神楽の火をはなつ 水巻 令子
  (秀治)(祐治) 山上の月の高野の冬櫻 主宰
  (都茂女) 母の病み子の病み雨の十三夜 おぐま ふさこ
  (生氣) 神々のたそがれ落葉松もみぢかな 小松 勢津子
  (健司) 村墓の供華それぞれの庭の菊 植村 やよひ
  (薫) 余所の家のくわりんの太る冬籠 森田 正実
  (健司)  桜紅葉や漬け樽を洗ひあげ 岩谷 美津子
  (祐治)  水底に光沈めて烏瓜  海老根 ヨシ子
  (薫)(祐治) 柚子の香の小さき家に目覚めけり 沖山 充弘
  (秀治)(文子)
(美佐子)
 焚火あとより一本の冬の草 浅見 宏子
  (健司)(美佐子)
(生氣) 
音もなく枯草にならうとしてゐる 田邉 文子
  (都茂女)(美佐子) 冬ぬくし爪のかたちに爪を切る  田川 研一
  (生氣)  立冬の低き空にもとどかざる  中村 祐治
  (都茂女)(祐治)  立冬の香焚きしむる月の山 主宰
  (健司)  伝道者会合スチームチンガタン  山口 都茂女
  (祐治)  水底に光沈めて烏瓜  海老根 ヨシ子
  (都茂女) 地はきしみ空は愁ひしままに冬 坂本 千歌
  (健司)  枝先の一顆の色のほかは冬 後藤 洋
  (薫)(生氣) 天は貧し蒲の穂絮のとびつくし 田邉 文子
  (文子)  残菊よ母屋も納屋も壊れしに 木津川 珠枝
  (美佐子)  草の風木の風花の風野分 
おぐま ふさこ
  (健司)(秀治)(文子) 湿原に日の差しにけり鴨の声 
山口 恭徳
  (祐治) 病雁の拡ぐる翼今朝の冬
山口 恭徳
  (健司)  枇杷の花近道できぬ日和なり
田中 啓介
  (生氣)  冬の雷老ゆる覚悟を問はれけり 
木津川 珠枝
  (健司)(薫) 秋の金魚一匹減ってをりにけり
田邉 文子
  (都茂女)  水に落とすてのひら二枚今朝の冬
橋本 薫
  (薫) 逸れたるここち零余子をにぎりしめ
深津 瑩子
  (秀治)  からまつの林の道の冬の草
今野 志津子
  (都茂女)  お火焚の字の浮かびたる炭ひろふ
水巻 令子
  (薫) 輝いていて行きつけぬ鴨の沼 
水野 浩子
  (文子)(生氣)  秋草のみだれて潮目うつくしき
今西 美佐子
  (秀治)  サーファーのくるぶし白し野分あと 
今西 美佐子
  (健司)  インク瓶のブルーブラック冬に入る
今野 志津子
  (薫) いなびかり逆白波の荒れまさり 
深津 健司
  (祐治)  青蜜柑売れ残り雨本降りに 
田川 研一
  (美佐子) チンパンジーが聴く木枯一号  
上村 章子
  (薫)(秀治) 冬銀河砂丘に舟の伏せられて 
深津 健司
  (都茂女) 天へゆくひとりの議長冬の菊
石川 秀治
  (薫)  木の葉散るぴしとわが頬打ちながら
石橋 玖美子
  (文子)  清流に浸りてゐたり穴惑ひ 
浅見 宏子
  (美佐子) この山の鹿濡れてをる時雨かな
今野 志津子
  (祐治)  一夜歓談近海の人と冬に入る
半田 真理
  (都茂女)  冬紅葉半分空の中にあり
石川 秀治
  (薫)(文子) 黄落の呼ばれて坐る木椅子かな 
門奈 明子
  (美佐子) 雁や祖父母曾祖母細面
有住 洋子 
  (秀治)  舟守の身のしなやかに冬近し 
住田 千恵
  (祐治)  古靴を履いて出かける酉の市
石川 秀治
  (文子)  この沼のとくに名の無き小春かな
二宮 操一
  (美佐子)(生氣) 風を掃く十一月の竹箒 
曽根 新五郎
  (健司)  障子など繕うてをる文化の日 
石川 秀治
  (祐治)  立山の大きな秋となりにけり 海老根 ヨシ子
  (文子)  街の川流るる落葉動かざる 
小池 啓子
  (生氣)  秋耕を肘やはらかく空を打ち 
植村 やよひ
  (秀治) 葬儀の日秋風鈴をしまひけり
小久保 寛
  (生氣)  花ひひらぎ狐お産場十二穴 
山口 都茂女
  (都茂女) 小鳥来る茣蓙しきつめし女人堂
寺澤 慶信
  (秀治) 熊笹や十一月の山ひかり
鈴木 仁
  (都茂女)  何ひとつ捨ててはをらず枯ひまわり
小木曽 仁子
  (文子)  ほつほつと鳩の歩める冬青草
田浦 伊久子
  (美佐子)  山茶花の掃きよせるほどでもなくて
小木曽 仁子
  (祐治)  立冬や火の香水の香暁紅葉
主宰
  (生氣)  身の軽くなるまで吹けり草の絮 深津 健司

記:後藤 洋


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