例会トピックス 

第150回 藍生5月例会

(平成16年5月16日)
会場:池袋、芸術劇場大会議室

今回は杏子主宰が不在の為、次の方々による十句選を戴きました。

中村祐治 選   ☆
山口都茂女 選 ★
二宮操一 選   ◇
岩井久美恵 選 ◆
大矢内生氣 選 △
栗島 宏 選   ▲
田邉 文子 選  □

 

  ☆◆△▲  千本の十薬ぬけば変れそう 盛田 道子
  ☆◇□ 軒の灯のとどくところに燕の巣 田川 研一
  首に下ぐタオル真白に田水張る 植村 やよひ
  春の野にさなぎのごとく横たはる さとうかしこ
  柿若葉きのふのことをはや忘じ 二宮 操一
  料簡をついでに変へし更衣 桑田津海坊
  人待つやたえずこぼるる藤の花 成岡 ミツ子
  ☆◆ 柱はなれて歩きだす夏の月 栗島 宏
  昼になり風のつめたし白つつじ 田邉 文子
  ☆★ 蛙鳴く山へ戻りて来たりけり  徳重 真理子
  8の字など描くまくなぎ吹きにけり 水巻 令子
  てふてふのうらがへりたる座敷かな 田浦 伊久子
  月暦の縁五月十五日 徳重 真理子
  潮入りの先頭切って海月かな 水野 浩子
  植木屋の腰の一式涼しかり 小松 勢津子
  花桐や海に潜める海の色 渋谷 澪
  髪のまだ伸び切らぬうち行々子 田中 啓介
  宵祭会所に届くお漬物 水野 浩子
  柩のやうな筍の箱届く 田浦 伊久子
  葭切のかたかな言葉きりもなく 神保 洋子
  笛吹きの男と歩む五月かな 徳重 真理子
  ◇△ 五月闇こんぺいたうのうすあかり 田中 浩子
  遊具には目あり口あり樟若葉 さとうかしこ
  筒鳥やけむりを噴かぬ山が老い 海野 山椿
  乳牛の臀は四角よ麦の飯 植村 やよひ
  ◇▲ 山背吹くなとろとろ搾る栃の蜜 山口 都茂女
  はしり蚊や更なる鑿の当て所 後藤 洋
  万緑や治りきれなき腱鞘炎 植村 やよひ
  身を浮かべゆく母の日の水田べり 渋谷 澪
  蓮青葉何かが足らぬ見つからぬ 門奈 明子
  まみどりの霧へ鈴の音消えてゆき 中村 祐治
  手鏡の口動きだす修司の忌 田川 研一
  透きとほる若狭みやげの蒸鰈 飯倉 あづま
  村中の秒針止まる柿若葉 安居 須美子
  さわさわと浦の若葉の夕かな 石川 秀治
  潮目立つなんじゃもんじゃの花盛 大矢内 生氣
  竹秋や火勢きはむる登り窯 二宮 操一
  更衣神父はマジョルカ生れなる 中村 朋子
  △▲ のびちぢみして流れゆく毛虫かな 本田 正四郎
  男の約束ですと杜若咲く 上村 章子
  ひなげしの昔のことを話しけり 中島 千鶴子
  △▲ 母思ふそのうち海月見失ふ 田邉 文子
  △▲□ 竹落葉ときをりちがふ落葉かな 大西 京子
  人生の行き着くところ葉桜だ 梅田 昌孝
  山肌を墜ちてゆくなり黒揚羽 田浦 伊久子
  燕来る水平線を見に行かむ 八木 實
  浅草の雨ふりけぶる祭りかな 森田 正実
  板切れに仏の句あり牡丹寺 坂本 千歌
  降り出してすぐ止むゆふべ藤の花 石川 秀治
  刈草のちらかってゐる草の上 栗島 宏
  猫もまた老いたり棕櫚の花咲けり 今野 志津子
  掃き寄する音やみにけり杜若 住田 千恵
  黒南風や飯少なめに炊きあがり 田中 啓介
  はるにれの切り株に座す更衣 住田 千恵
  ひとりだと気づく新樹の美しく 栗島 宏
  田端日暮里青葛の坂ゆるく 岩谷 美津子

記:後藤 洋


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