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黒田杏子
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つぎつぎとおひと発たれ 八月の終るかなしき月満ちて 仲秋の手足つめたき机かな 新宮 月明や熊野大学校舎なく いなづまの家を捨てたるにはあらず 辺地辺土この世のちの世曼珠沙華 秋風を踏み秋風を踏みわたり 月祀る師あり父母亡し子孫なし 鶏頭のつめたし辺土めぐりたし 子規の忌の月を上げたりネオン坂 道後 宝厳寺お施餓鬼に参じて 三句 遊行忌のすすき束ねてをられけり なつかしきお貌昏れゆく一遍忌 一遍七百十六回忌青稲妻 お四国の月光枕低うして 辺地を踏め辺土を巡れ天の川 月光のくまなき岬百度石 |