aoilogo2004年11月藍生主宰句
一遍忌
黒田杏子

   つぎつぎとおひと発たれ
 八月の終るかなしき月満ちて
 仲秋の手足つめたき机かな
   新宮
 月明や熊野大学校舎なく
 いなづまの家を捨てたるにはあらず
 辺地辺土この世のちの世曼珠沙華
 秋風を踏み秋風を踏みわたり
 月祀る師あり父母亡し子孫なし
 鶏頭のつめたし辺土めぐりたし
 子規の忌の月を上げたりネオン坂
   道後 宝厳寺お施餓鬼に参じて 三句
 遊行忌のすすき束ねてをられけり
 なつかしきお貌昏れゆく一遍忌
 一遍七百十六回忌青稲妻
 お四国の月光枕低うして
 辺地を踏め辺土を巡れ天の川
 月光のくまなき岬百度石


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