例会トピックス 

あんず句会20年記念句会(藍生関西11月例会)

 (平成16年11月19日)
会場:会場:ホテル嵐亭



主宰ご出句
 
  寂信さん満齢八十二
湖想庵より僧形のしぐれ傘
  しぐれ忌のしぐるる嵯峨野僧伽かな
  二十年の間に句座二つありて
嵯峨野僧伽常寂光寺落葉籠
  利休忌の紅葉冷またなつかしき
  小倉山より嵐山しぐれ虹


特選句
  寂庵の雨の落葉を京みやげ 成岡ミツ子
















  少年も少女も去りし楡落葉 中村 昭子
  寂庵に学び集ひて冬日燦 南浦 小糸
  たつたひとつの綿虫のつかまらぬ 梅田 昌孝
  冬の川かく過ぎゆけるものたちよ 青天子
  旅立ちのなぜに急かるる小夜時雨 南浦 小糸
  きらきらとしぐれののちの木の葉かな  藤田 翔青
  気後れのして嵐亭の庭紅葉  竹内貴久枝
  冬の蝶京へ京へと二十年 合田 圭希
  霧襖開く全山嵐山 大出 豊子
  御火焚の火床くづるる三つながら 山口都茂女
  寒さゆきわたる箪笥の引手にも 畳谷 智代
  かはたれや火焚御神楽舞ひ納め 藤平 寂信
  親孝行といふ闇ありて毛糸編む 今井 わこ
  句座にきて花野のすそに坐るやう 植田 珠實
  莫山の寂刻む石しぐれけり 瀬戸内寂聴
  二十年とは飛ぶやうに冬紅葉 横山 笑子
  望郷のタイの芒の揺れにけり 大出 勝重
  常寂光寺雨の落葉のあたらしく 森光 梅子
  ふたりゐてひとり見てゐる雪螢 出井 孝子
  二十年嵯峨野落葉を踏み通ふ 永井 雪狼
  お火焚や寂信翁のズツク靴 河辺 克美
  いちにちの豊かな落葉夜が来る 寺島 麻里
  綿虫のひかる飛天のひかりかな 二宮 操一
  山鳩のまだ啼いてゐる零余子飯 大出 豊子
  別れずにまた誓はずに冬紅葉 七波 真理
  閂をかけて北山しぐれかな 半田 里子
  黄落や遠き昔の首かざり 内山 森野
  東山祇園川上夕時雨 野木 藤子
  冥境の森へと紅葉明りかな 宮之内志野
  綿虫の漂ふやうに後つけむ 安田 和子
  しぐるるや遠くの町が日の中に 宇高 徳子
  はなやかにして時雨けり京をんな 岩井久美恵
  時雨忌のわが法臘の短さよ 瀬戸内寂聴
  冬に入る星々をもて月を研ぐ 島田  勝
  紅葉拾ふ遠くにをりしひとのこと 半田 真理


一重丸句
  レイ子さまと言へば嵐亭照紅葉 中川 恭子
  たしかむる愛一歩づつ落葉径  南浦 小糸
  からつぽの乳母車押す菊日和 明石 文子
  ひとむかしふたむかしまた冬桜 岡本 弘子
  御火焚の火柱雲の戸を開く 中川 恭子
  しぐるるやもの音もなき嵯峨の奥 瀬戸内寂聴
  秋篠やほとけ時雨の香に立ちて 米田多美子


記:田邉閑雲 写真(c):長 晴子


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