例会トピックス 

第144回 藍生10月例会
(平成15年10月12日)
会場:芸術劇場大会議室

主宰ご出句
漕きいでて堅田の後の月あかり
  お形見の紬のとどく十三夜
  紬着て発たれし後の月あかり
 
 

特選句

  散歩でもないのに拾ふ木の実など 磯辺 まさる  
  茎石にはは石子石父はなし 山口 都茂女  
  婚五十年高きに登り鐘を撞く 村田 英尾  
  にんげんのこゑのたふとき十三夜 今野 志津子  
  凶作の山に沁み入る煙かな 海野 山椿  
  ごつごつとはたらき夜の鰯雲 古橋 淑子  
  素十忌の雲より淡き八日月 木津川 珠枝  
  棕櫚の葉に風の出て来し十三夜 古橋 淑子  
  屏風絵の芒みだるる野分かな 今野 志津子  
  いたみ分ちて秋草の野に遊ぶ 今西 美佐子  
  秋蝶のしづけさをふりかへりけり 栗島 弘  
  洛外のただごとならぬ竹の花 出井 孝子  
  隣から手をさしのべる十三夜 曽根 新五郎  
  渾沌へぽっかりひらく月の穴 中村 祐治  
  凶作の米豊作の馬刀葉椎 神保 洋子  
  さんま買って無人の部屋に帰りきし 滝川 直広  
  ふるさとになにを残せし雁渡し 大矢内 生氣  

一重丸句

 
  邯鄲や心ひとつが定まらぬ 鳥井 月清  
  虫籠を草のはみでてをりにけり 栗島 弘  
  水音のゆふぐれとなる寒露かな 深津 健司  
  乱調の風の折りふしをみなへし 今西 美佐子  
  硝子屋のすっと截り分く秋の空 木津川 珠枝  
  薬掘るいづれも細き根なりけり 谷井 尚子  
  薬屋にくすり山ほど十三夜 伊藤 通子  
  豊年の幟も五風十風とて 大矢内 生氣  
  虹色に雲の中より稲光 小松 勢津子  
  京に入るまづ一杯の菊の酒 岩井 久美恵  
  椅子深く坐す満月のひんやりと 栗島 弘  
  灯を消して菊の枕の香ほのか 深津 健司  
  青龍の片目を探す十三夜 曽根 新五郎  
  秋の日にあたたまりたる戸を繰りぬ 田邊 文子  
  望月や五勺の酒にひとり酔ひ 金堂 豊  
  身の丈の影飛びにけり十三夜 小木曽 仁子  
  ゆれやすき萩にもゆれぬ刻のあり 辻 久子  

記:後藤 洋


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