例会トピックス 

第143回 藍生9月例会
(平成15年9月14日)
会場:芸術劇場大会議室

主宰ご出句
三熊野や瀧谺なす月今宵
  月今宵四十八瀧一之瀧
  三熊野や月かがやけば火星また
 
 

特選句

  払ひ込むさいごの学費鷹渡る 植村 やよひ
  月を待つ翼かがやく蚊喰鳥 今野 志津子
  南天に火星やもりは石壁に 大場 敦子
  この地下にある街と駅震災忌 石田 六甲
  満月と火星に眼さらしけり 石橋 玖美子
  星飛ぶとたれか河原に出て叫ぶ 二宮 操一
  小鳥来る仕事を持たず荷を持たず 八木 實
  満月や庭木に山の記憶あり 伊藤 通子
  籐椅子のうしろ男の台所 山口 都茂女
  夕暮の畑に火を焚くのこゑ 石川 秀治
  ひぐらしの水底にわれ置き去られ 古橋 淑子
  木片にすっと乗りたるばったかな 石川 秀治
  鑑真和上に明月の茶を献ず 岩井 久美恵
  目覚めけり秋天あをき静けさに 沖山 充弘
  ふっさりと刈り来て月のすすきかな 渋谷 澪
  屋上は月の平原ひとりきて 大場 敦子
  十六夜や堅く焼けたるパンを噛み 糸屋 和恵
  背をぐっと曲げて鳴き出すちちろ虫 丹野 麻衣子
  すこしづゝずらす今宵の月の卓 水野 浩子
  白鳥も眠らずにをる良夜かな 糸屋 和恵

一重丸句

 
  邯鄲の闇ふくらんでくるやうな 今野 志津子  
  雨の勿来を散り敷ける葛の花 岩谷 美津子  
  谷底を水のゆく音月見草 本田 正四郎  
  稲妻やともがらすこし酒すこし 深津 瑩子  
  野に出でて月の匂ひと思ひけり 鈴木 仁  
  背広着て男の歪む残暑かな 石田 六甲  
  更科の雲うつくしく月を待つ 山口 恭徳  
  白鷺の微光こぼせる良夜かな 小松 勢津子  
  秋暑し中野区人口三十万 田川 研一  
  手招きの媼しろばなまんじゅさげ 浅井 敏子  
  弟のことなど話す十六夜 半田 真理  

記・写真:後藤 洋


戻る