例会トピックス 

第142回 藍生7月例会
(平成15年7月13日)
会場:芸術劇場大会議室

主宰ご出句
梅雨霧の底ひに一茶冷えて坐す
  一茶記念館に借りたる硯洗ひけり
  生きて書く歩いて詠める梅雨の雷
 
 

特選句

  本降りとなる蓮の池花ひとつ 山口 恭徳
  つらなりて松をこぼるる梅雨の蝶 森田 伊佐子
  梅雨晴の墓地にもの食ふ石工かな 森田 正美
  気づくまで待つか躑躅に白もある 秋月 玄
  梅雨の月畳に置いてある葉書 栗島 宏
  何もないところで曲り蟻の列 石田 六甲
  のうぜんや水に溺るる夢を覚め 田邊 文子
  海の家まっさらに建ち並びたる 中村 祐二
  髪あげて鳴く天牛は生者なり 山口 都茂女
  ゆふぐれの遊行柳の風をみる 今野 志津子
  夕方の風鈴市に小雨かな 石川 秀治  
  昼顔のおもてばかりを見せにけり 高橋 由枝
  ほうたるの一途なることかなしめり 今野 志津子
  椎の木のたっぷり揺るる簾かな  藤井 基史
  星合や橋のかはりに石置いて 大場 敦子
  おとうとのひとり鬼燈市の夜 有住 洋子

一重丸句

 
  酒屋へは50メートル夏燕 藤井 基史

  尺蠖や何かが見ゆるところまで 門奈 明子
  夏の蝶竜舌蘭をくぐりけり 神保 洋子
  水も岩も蟇もまっくろ梨農家 水巻 令子 
  芝浦の神経内科熱帯魚 本田 正四郎
  ひとりには広すぎる部屋水中花 門奈 明子
  流るるは月山の水川床座敷 谷井 尚子
  夏川の轟く昼の酒余し 鈴木 仁
  捨てるしかないものを書く青蜥蜴 半田 真理
  永らへむ螢ほたるといひながら 深津 瑩子
  あめんぼのあたりいちめん雨がふる 栗島 宏  
  岩を濡らしてかはせみの発ちにけり 石橋 玖美子
  夕月にくらげの立てし波紋かな 石川 秀治
  鬼灯の花より白きものありや 丹野 麻衣子

記・写真:後藤 洋


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