aoilogo2003年11月藍生主宰句
一茶忌
黒田杏子



樒の実季語の記憶といふものも
ひとり往けひとりかなしめ曼珠沙華
一遍七百十五回忌秋燕
仲秋や寂庵の黄の蝶の昼
石鎚山や野分遍路の五十人
石鎚山やいくたび野分虹鮮た
秋の虹いよいよ遍路ごころかな
柞散る瀧の谺の底に座す
秋の日を龍鳴きてひとかなします
母亡くて柞ふるふるお瀧道
佇めば日光秋のこゑ降り来
銀いろの朴葉いちまいづつ発てり
お形見の紬の包み十三夜
紬着て発たれし後の月あかり
一茶忌のほうら初雪柏原


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