aoilogo  2003年7月 藍生 主宰句
六月
黒田杏子



 四万十の月の畳の涼しさよ
 お四国の土佐の宿毛の螢籠
 霧吹いてまぶしむものに螢籠
 寂々と暁のほたる火螢籠
 葦の葉のあをき粽も伊吹島
 父八十八母九十五発ちて夏
 ちちははの大往生の粽解く
 寂庵のたかんな冷と申すべく
 一齢を傘寿に加ふ祭かな
 芍薬の八十一花宝珠解く
 六月や月光しばし床柱
 涼しさの唐寺の月なつかしみ
 梅雨の月長崎に句座重ねけり
 ほととぎす寂寥のその底知れず
 この街に杏子櫻子夏の月


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