aoilogo  2003年1月 藍生 主宰句
龍の玉
黒田杏子



送り火の鳥居火床の百八つ
鳥居形送り火水に消ゆるまで
秋遍路跼みて恵まるゝ何か
遍路一団睡り落つ後の月
秋遍路もう歩けぬもう歩けぬ
玄冥の月光死者にしみもなし
くろばねや十一月の十三夜
柚子湯して坐したる母の机かな
極月の流星こときれてのち
ゆく年を母の眼鏡をかけて読む
百歳に五歳足らぬ龍の玉
母の句を書きて写して去年今年
骨埋む枯野の果のあかあかと
みそさざい小包母に作りたし
あをあをと聴けあらたまの玉霰



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