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第三回 三月・滋賀の藍生だより

写真と文:田邉 閑雲(たなべ かんうん)さん
Tanabe Kanun:本名晴子。俳号を用いて「俳号の人格」に変身して俳句を詠もうと夫につけてもらった俳号が、「閑雲」。 京都の河辺克美さん代表の「ふしみ句会」で月に一回吟行、句会を楽しむ。

琵琶湖
琵琶湖

琵琶湖は滋賀県の面積の六分の一を占めています。 小白鳥はじめ多くの雁・鴨類が飛来して越冬するので、冬の琵琶湖はとても賑やかです。
(翔ぶ鴨と
湖上に美をかもしだすえり

えり挿す」は春の季語。 波静かな湖上に独特の線を描くえりは琵琶湖の漁業の象徴的な存在です。

 

竹生島


 湖北は特に多くの水鳥たちの生態を観察することができます。竹生島は島全体が信仰の対象とされ都久夫須麻神社と西国三十番札所の宝厳寺が祀られています。
座禅草
 湖西、湖北は雪の多いところ、遅い春を待ちわびて残雪の中から可愛らしく座禅を組んでいるような姿をのぞかせる春告草。(今津町座禅草群生地)


義仲寺
義仲公の墓(木曾塚)と翁堂

義仲公の墓(木曾塚)と翁堂
芭蕉翁墓
芭蕉翁墓
  墓石の「芭蕉翁」の字は丈艸の筆といわれています。
 近江と近江の人々を愛した芭蕉は遺言により、義仲寺に葬られました。 合掌する背にぱらぱらと玉霰が降りかかり、又玄の「木曾殿と背中合せの寒さかな」の句が、思わず唇から洩れる・・・。二月の大津は比叡颪が身を切るように冷たい。


比叡山

 比叡山中には天台宗の総本山延暦寺がそびえ立っています。 開祖伝教大師最澄上人は比叡山麓、坂本でお生まれになりました。春の大雪に山も諸堂もすっぽり覆われて、ますます清浄で静寂、自分の心も清らかに染まってゆくのが分かります。
草津志那中から見る
草津志那中から見る
延暦寺根本中堂
延暦寺根本中堂
文殊楼
文殊楼
釈迦堂
釈迦堂
横川中堂
横川中堂

逆さ伊吹山 水鳥観察の穴場、西池 浮御堂
逆さ伊吹山 水鳥観察の穴場、西池 浮御堂
 湖国の冬空には珍しく青く晴れ渡った日、山東町へと車を駈った。
  三島池に美しく映える、古代神の通ひ道であった雪の伊吹山・・・。こんなチャンスはめったにない。県下第一の高峰で標高は1377米。
 浅井長政の小谷城跡のそば、ひっそりとした西池では、オオヒシクイ、ミコアイサ、マガモ、オナガガモ、ヒドリガモなどの平和な姿が見られました。
 写真の水鳥はオオヒシクイです。

 湖上交通の安全を祈願する一千体の阿弥陀仏が祀られています。
 芭蕉は堅田の浜で十六夜の月をめでながら、「鎖明けて月さし入れよ浮御堂」と詠んだと云われています。

鴨翔ちて逆さ伊吹山を崩しけり   閑雲




*写真はクリックすると拡大表示されます。(「梅園」を除く)

俳句、写真、写真キャプション文:(c)田邉閑雲
表題下の梅は石山寺の梅園
湖上に美をかもしだすの写真:(c)丸山竜平


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