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第一回 一月・岩手の藍生だより

写真と文:二階堂 光江さん
Nikaidou Mitsue:岩手県盛岡市在住。現在、盛岡市・柴田綾子さん代表の「鷽の会」で、吟行を中心に、毎月1回、句会をしている。


雪の落ち葉雪の落ち葉

昨年の11月、いつにない早い雪に驚かされた。その時のワンショット。友人の細川稔さんからの提供。雪に紅葉が散る景は、こちらでもなかなか見られない。紅葉しているものだけでなく、まだ青みの残る葉もばらばらと雪に散った。
岩手山 近景岩手山 近景
岩手山 晩秋岩手山 晩秋
岩手を象徴する岩手山。春になると山頂に鷲の雪形が現れることから、岩鷲山(がんしゅうざん)とも呼ばれている。近景の写真の方に、両の羽根を広げた鷲の姿がかすかに見える。右の片羽根が山裾へ長く流れる頃、吟行の虫が疼きだす。この写真は弟が撮影したもの。
晩秋の岩手山は、友人である俳人の澤口航悠さん提供。手前に見えるのは稲架。

冬枯れの中津川冬枯れの中津川
中津川の冬木(銀杏)
中津川の冬木(銀杏)
5年前の「全国藍生のつどい・盛岡」に参加された方々にはなつかしく見ていただけるのではないだろうか。あの日吟行した中津川も、今はこのような冬枯の景である。川沿いの大銀杏もすっかり冬木となった。銀杏の後方が慶長時代の擬宝珠のある上の橋。盛岡・鷽の会でも、年に1度は歩く吟行地。撮影したこの日は、一日雪が降り続いた。

岩洞湖雪のいたずら岩洞湖雪のいたずら
 
これも友人の細川さんの提供。彼は龍泉洞がある岩泉の中学校へ単身赴任している。岩洞湖は盛岡から岩泉へ行く途中にある湖。道沿いに水芭蕉の群落があり、白樺が水面に映えて、北海道を思わせる風景が続く。そこで見かけた雪のいたずら。
冬晴

私の弟が昨年撮影した自宅近くの景。こんな冬晴れの一日があるから、雪も嬉しくなる。




 寒晴やいまにも翔びたちさふな木々   光江
冬晴
高松の池・白鳥 高松の池・白鳥

高松の池には毎年たくさんの白鳥が飛来し、朝夕、鳴き交わしながら盛岡の空を飛び交う。この池はかつてはスケートができるほど厚い氷が張ったという。最近はそれほどでなくなり、鴨と白鳥でにぎわう。アングルのせいで水が広く見えるが、ほとんどは凍っていて白鳥たちがいるのはほんの少しのスペースである。ここもよく訪れる吟行地。

光原社・可否館

宮沢賢治が生前発刊したただひとつの童話「注文の多い料理店」。大正13年に出版されたが、その発行所跡。「光原社」という名も賢治が名付けた。今は工芸品のアトリエがあり、陶芸品や織物なども販売されている。中庭の白壁には賢治の詩が大きく書かれてある。奥のつきあたりは北上川。ここの可否館の珈琲はファンも多く、旅行者もよく訪れる。私も旅が恋しくなったとき、ふらりと訪れる。
光原社・可否館


*写真はクリックすると拡大表示されます。(「岩洞湖雪のいたずら」を除く)
文中に撮影者名のない写真、文:(c)二階堂光江



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