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第二回 二月・愛知の藍生だより

写真と文:吉鶴 弥生さん
Yayoi Yoshitsuru : 愛知県東海市在住。自然写真家を目指す夫と好奇心旺盛な小学生の娘あり。現在、郵便による「やよいめーる」句会の幹事。HP「ふくろうの森」管理人。
うつぶせの子の目となりていぬふぐり(*)
拙句にて黒田先生と出会う。



 南北に長い日本列島のほぼ真ん中あたりに位置する愛知県。1月の下旬から早春の花々が次々と花開いていきます。2月になれば野山を訪れると、ひそやかながらも花は途切れることがありません。
 愛知県からは藍生の会員ではないのですが私の夫の撮影した、そんなかわいらしい花々の写真をお届けします。とはいえ、残念ながら「これこそ愛知!」という写真ではなく、時期こそ多少前後するものの、ほぼ日本列島ほとんどの地域で見られる花々ばかりです。ご容赦を。


ネコノメソウ

猫の恋水族館の夜の更けて

ネコノメソウ
湿ったところに生える小さな草です。この花そのものを野外で見付けて即名前がわかる人は植物に興味のある人や、ナチュラリストだと思います。季語という割にはマイナーな花ではないでしょうか。愛知県では少し山手の方で、小さな沢沿いなどで見ることができます。
  

セツブンソウ
冴返る影の形のそれぞれに

セツブンソウ
節分の頃咲くことからセツブンソウといいます。
有名な花ですが絶滅危惧II類として扱われていますので見られる地域が限られており、更に名前の由来のころに咲く姿を見られる地域はもっと限られます。
愛知県では鳳来町の石雲寺が有名で、1月半ばぐらいから見られるようになり、3月まで楽しむことができます。 今年は名前の由来の通り、節分の頃が見頃となりました。
オオイヌノフグリ


うつぶせの子の目となりていぬふぐり  *



オオイヌノフグリ
季語ではイヌフグリです。愛知県では道端で早春を彩る花の代表で、ホトケノザと共に各地で簡単に見ることができます。明治時代以降に日本に入ってきた外来種ですので、イヌフグリの季語は比較的新しい時代の季語になるのではと思います。
ウメ
ウメ
春が訪れた喜びを表すべく花見をする花は、桜の次はこの梅なのではないでしょうか。愛知県でここが天下に有名な梅の名所のどこどこです、というところは思いつきません。強いていえば、知多の佐布里池(そうりいけ)でしょうか。梅の実を採るためというのではなく、花を愛でるために公園などであちらこちらに植えられております。


紅梅に雨の雫のまくれなゐ



折鶴の左右対称冴返る


写真、写真キャプション文:(c)吉鶴 靖則
冒頭の文、俳句:(c)吉鶴 弥生


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