例会トピックス 

あんず句会(藍生関西12月例会) 
 (平成15年12月19日)
会場:曼陀羅山寂庵

主宰ご出句
還暦と古稀のあはひを柚子湯して
  年を重ねて働いて柚子湯して
  ふぐ鍋や酒仙学者の句を懸けて
  寂庵の拭きあげられし冬至かな
  山姥の嵯峨野をよぎる冬至かな
 
   

特選句
  熱燗に唇つぼめ妻を恋ふ 藤平 寂信



  寺の名で呼ばるる和尚返り花 宇高 徳子
  みどりごの瞼に冬至あかりかな 出井 孝子
  寂庵の柚子惜しみなく冬至の湯 瀬戸内寂聴
  原稿を書く右手より柚子の湯に 滝川 直広
  ひれ酒を腸(はらわた)に呑み悔捨つる 瀬戸内寂聴
  沙のくにとほく柚子風呂たてにけり 出井 孝子
  風花の祇王寺出でし後のこと 米田多美子
  雲ひとつなし新海苔を買ひに出る 金子 恵美
  二番湯がいいのよ柚子も一つ足し 寺島 麻里
  真冬からまつすぐ敵の来てゐたり 今井  豊
  冬帽子似合はぬ顔となりにけり 太田 智子
  曝さるゝF氏の末路河豚汁  寺島 麻里
  柚子湯深く沈みて数ふ逝きし人 瀬戸内寂聴

一重丸句
  待つ母に日のさしてをり冬至粥 今井 わこ



  山茶花や愚痴をこぼしてゆきなはれ 今井  豊
  ひとりなり老婆の部類クリスマス 太田 智子
  こともなしとはゆかず柚子湯かな 長  晴子
  祇王寺の風をしばらく年の内 米田多美子
  老いし身も白くほのかに柚子湯かな 瀬戸内寂聴
  みづうみを飽かず眺めて年惜しむ 藤平 寂信
  冬遍路蕎麦米汁を山盛りに 億  みき
  十日目の干大根の葉つぱかな 渋谷  澪
  しみじみと日と月を見る冬至かな 篠田くみ子
  むつかしきことはさておき河豚食べよ 安土八重野
  ねむたさの頭浮かべて柚子湯かな 渋谷  澪
  浜大根艫にひと山定期船 佐渡寿美恵
  あんかうの肝やぐづぐづ言はぬ事 曲子 治子
  ふはりと生れゆらりと死ぬる雪蛍 篠田くみ子
  あきらめたと唸りて逝きし室の花 億  みき
  柚子湯して力抜けたる後の顔 畳谷 智代
  あれこれと気付かざる罪冬至風呂 永井 雪狼
  冬蝶の世を畳みゆく日向かな 曲子 治子


記:田邉閑雲 写真(c):億みき


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